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高松宮記念、昨年王者は“正騎手”と。
セイウンコウセイと松田大作の物語。
posted2018/03/24 07:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
昨年、セイウンコウセイで高松宮記念を制した幸英明が、勝利騎手インタビューをこう締めくくった。
「代打で、役目を果たせてよかったです」
セイウンコウセイには、それまで3戦連続で松田大作が騎乗し、渡月橋ステークス1着、淀短距離ステークス1着、シルクロードステークス2着と好成績をおさめていた。しかし、松田はその前月、道路交通法違反(免許停止中の無免許運転および速度超過)で罰金刑に処されたため騎乗停止となり、幸に乗り替わることになった。
その時点では、松田の騎乗停止期間も、復帰が認められるかどうかも決まっていなかった。そんななか、幸はあえて「代打」と口にした。後輩の松田に対して「お前のお手馬なんだから、復帰したら頑張れ」という、叱咤をこめたエールの意味合いもあったのではないか。
松田は昨年8月に半年間の騎乗停止から復帰した。幸に渡っていたセイウンコウセイの手綱も、昨年11月の京成杯(7着)から松田に戻ってきた。そして、前走のシルクロードステークスで2着となり、今週の第48回高松宮記念(3月25日、中京芝1200m、4歳以上、GI)にエントリーしてきた。
復帰後3度目のGI騎乗。
松田にとっては、復帰後、昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(マドモアゼルで10着)、ホープフルステークス(シャフトオブライトで10着)につづく3度目のGI騎乗となる。
1978年に生まれた松田大作は、競馬学校騎手課程第13期生で、今年厩舎を開業した武幸四郎調教師や、秋山真一郎、勝浦正樹らと同期生だ。
デビュー4年目の2000年暮れから'01年の年明けにかけて、当時カリフォルニアに騎乗ベースを移していた武豊を頼って、鹿戸雄一(現調教師)、千田輝彦(同)、池添謙一らと渡米し、調教に騎乗した。そのほか、イタリアに'01年と、'10年から'11年にかけて長期遠征した経験がある。
いつも明るく元気なジャニーズ系の男前で、アメリカ遠征に同行した筆者も、一緒にいるだけでエネルギーを分けてもらえるような若者だった。
2015年、千田輝彦厩舎のタガノアザガルでファルコンステークスを勝ち、デビュー19年目にしてJRA重賞初制覇を遂げ、男泣きした。ともにアメリカに行った千田調教師の管理馬だったことも喜びを大きくしたのだろう。