野球のぼせもんBACK NUMBER
SB本多雄一が「最強ボディ」に激変!
号泣と猛練習でレギュラー奪取宣言。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/03/13 08:00
ヤフオクドームの左翼に本塁打を放ち、笑顔でベンチに戻る本多。
オフもキャンプ期間と同様の厳しい練習。
また、年の瀬のクリスマスが過ぎた頃も、本多は午前9時から午後4時近くまで日々トレーニングに励んでいた。
走って、打って、ウエイトトレーニングをして。メニューも費やす時間もキャンプとほぼ変わらなかった。権藤もそれに付き合った。
「真冬の寒い、筑後川の河川敷をひたすら走っていましたね。ジョギングなんかじゃない。ものすごいスピードでした」
そこに鬼気迫る表情を見たという。
「年明けの嬉野(佐賀)や都城(宮崎)での自主トレも一緒に行きました。今年は用意したボールの数が違いました。例年は30ダースほどでしたが、今年は80ダース。数多く打ち込むためです」
ボールを集めて拾う時間も惜しんでバットを振りまくった。また、グラウンドを離れた日常でも意識の変化が見られた。権藤が食事に誘うと、以前の本多は決まって「何でもいいですよ」と返していたのだが、今年は自分が口にしたいものをはっきりと伝えるようになった。
後援会のパーティーで号泣した本多。
「そして、忘れられないのが去年の後援会の日です」
それは権藤以外のほかの出席者からも聞いたのだが、本多は最後の挨拶で号泣しながらマイクの前に立ち、次シーズンへの決意を述べたらしいのだ。
本多はホークスのお膝元の福岡出身。過去に2年連続盗塁王に輝いた、地元が生んだスター選手だ。パーティーには300~400人もの数が集まったという。
昨シーズンが始まる前、本多は迷った末に取得しているFA権を行使せずにホークス残留を決めていた。
「この世界、地元愛だけではやっていけないのは誰しも分かっていることです。だけど、自分が福岡で生まれ育ち、高校(鹿児島実業)と社会人(三菱重工名古屋)では離れましたが、プロ野球選手として福岡にまた戻って来られて今がある。その思いはずっと頭の中にありました。
それに、これだけすごい声援を送ってくれるスタンドは、すべての球団を見渡してもなかなかない。やっぱり福岡がいい。またこのチームで優勝したい。他の球団でプレーする気持ちにはなれなかった」
100点満点の「ホークス愛」「福岡愛」にファンが惚れ直したのは言うまでもない。