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SB本多雄一が「最強ボディ」に激変!
号泣と猛練習でレギュラー奪取宣言。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/03/13 08:00
ヤフオクドームの左翼に本塁打を放ち、笑顔でベンチに戻る本多。
昨季は「プロ12年間で一番悔しいシーズン」。
「僕も記憶にない。ヤフオクドームでのホームラン自体が5年ぶり? あー、開幕戦の満塁ホームランですね。打ったのは速いボールでしたけど、差し込まれた感じはまったくなかった。今まで感じたことのない感覚。
まあ、僕はホームランバッターではないので、一発のことなんてすぐに忘れないといけないですけど、強い打球を打つことはテーマにしています。それに体が変わって、打席に立った時のドッシリ感が今はある」
体重増はこれまでの取り組みとは真逆だった。
その前のオフはグルテンフリー、いわゆる小麦断ちを行って体を絞った。キレを作るのが目的だった。しかし、昨シーズンは「プロ12年間で一番悔しいシーズン」になってしまった。出場62試合。打率.213に、盗塁数は3つだけ。自身としては初めて怪我以外での二軍落ちも味わった。
一日中、野球のことを考えてしまうほどの無念さ。
「シーズンが終わってからの彼の無念は、痛いほど伝わってきました」
神妙な面持ちでそのように語るのは、野球用品メーカー「久保田運動具店」の社員である権藤裕徳だ。
本多はグラブやスパイクなど同社の野球道具をずっと愛用している。権藤はもう10年以上もホークスに出入りしており、本多とは新人時代からの深い付き合いだ。オフの自主トレにも帯同し、寝食も共にするなど、ある意味では家族以上に長い時間を共有している関係である。
「あれは昨年11月。もう深夜でした。布団に入っていたらスマホにLINEが入ってきたんです。バットの形をこんな感じにしてほしいというリクエストでした。彼は秋季キャンプを免除されていたので、オフに入っている時期です。でも、ずっと野球のことが頭から離れないんだろうなと思いました」