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「貴史マジ変わった、すげー笑う」
原口元気と宇佐美、独2部からW杯へ。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2018/03/08 11:30
原口(右)と宇佐美が同じクラブのユニフォームで戦っている。ロンドン世代を知るサッカーファンなら、これだけでも感慨深い。
「俺はまだ浦和には帰れない」
一時期、地元メディアでは浦和レッズへの移籍も報じられることもあった。W杯前に出場機会を何としても得たいはずだから、帰国もあり得るかと筆者は思った。だが、原口本人にその気は全くなかった。
「正直に言うと、浦和も(獲得したいという)話をしてくれました。でも『俺はまだ帰れない』という話をしたら『そうだよな』って意思を尊重してくれた。浦和もラファエル・シルバが抜けたからすごく必要としてくれたんだけど、今帰るのは違うなと。どこでプレーするにしても自分次第だとは思うんですけど、日本のリズムに慣れるより、2部でもガチガチやってた方がいいのかなと」
2部への抵抗よりも、出場機会が必要だという切実さが勝った。また、帰国を選択するほどドイツで完全燃焼したわけでもない。その結果がフォルトゥナ移籍だった、ということだろう。
脳震盪後10日くらい、ホテルの暗い部屋で。
移籍直後の第19節アウエ戦で途中出場すると、続くカイザースラウテルン戦でフル出場し1ゴール1アシストの活躍と軌道に乗った。
だが、3試合目となる21節ザントハウゼン戦のことだった。先発した原口は決勝点をアシストしたが、後半早々にアクシデントで交代した。その直前、相手DFクリングマンとの空中戦で激しく頭を打ち、両者倒れ込む事態となったのだ。
クリングマンは担架で運ばれ、原口は歩いてピッチから外に出た。脳震盪の疑いがあり、そのまま退いた。
「歩いて出たくらいだったから大丈夫かなと思ったんですが、めまいがなかなか消えず。(脳震盪は)怖いっすよ、本当に。10日くらい、ホテルの暗い部屋で安静にしてなくちゃいけなくて、ご飯を食べる時以外はずっと暗い部屋にいました。テレビも見られないし、携帯も触れないし、本も読めないし、本当にストレスでした」