“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
CBとFW両方の才を持つ田上大地。
長崎でJ1初ゴールを決めた必然。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2018/03/03 07:00
J1の舞台で初ゴールを決めて喜ぶ田上。チームメイトとよく練習していたパターンだったそうだ。
歴史的ゴールは決めたものの……。
ひと皮むけた彼は、大学4年になるとユニバーシアード日本代表の守備の要としても活躍した。
そして2016年、当時J2のV・ファーレン長崎に入団をすると、昨年はCBとしてチームのJ1昇格に貢献。今年は冒頭で触れたクラブの歴史的な日にピッチに立ち、クラブのJ1初ゴールを叩き出してみせた。
「密かに狙っていました」という言葉は、決してリップサービスではない。これまでこういう大舞台で結果を出してきた自信が、田上にそう言わせていたのだろう。しかしJ1の洗礼というべきか、簡単には勝たせてもらえなかった。
「やっぱり勝てなかったことが凄く悔しい。ゴールを決めることはできたけど、守備の面で悔しさは残ります。1失点目は僕と翁長(聖)選手が松田天馬選手にいったのですが、ドリブルコースが遠くなってしまって獲りきれなかった。
2失点目はファールしたのは僕なのですが、僕の中ではシュートブロックのつもりだった。主審からは僕が奪いにいってアフター気味に入ったように見られてしまった……。本当に悔しいです」
歴史的ゴールは挙げたものの、結果として大事な守備面で2失点に絡んでしまった。
「『これがJ1か』と思うのはこれから」
ほろ苦いJ1デビュー戦となったが、彼はこれから続く戦いに心を躍らせていた。
「『これがJ1か』と思うのはこれからだと思う。J1は個のレベルが強烈。特にどのチームにも強烈な前線の選手が多いので。長崎は組織で守るのがベースになってくる。そこはより突き詰めていかないといけないと思う。
個人的にも常にJ1で活躍できる選手になっていきたいと思っているので、たとえチームで守れない状況でも個人で止めきれるようにならないといけない」
一度上げたステータスはもう落とさない。これからも本職の守備はもちろん、要所でストライカーの顔も出してゴールを奪っていきたい――攻守において存在感を放つ準備はできている。