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左打者は俊足よりも強打者がいい?
ドラフトに見るチーム強化の早道。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/03/03 09:00
足も速いが、柳田最大の魅力と言えば長打力。一振りで得点を生み出せる魅力にあふれる。
強打重視の日本ハム、俊足重視の中日。
トップタイの日本ハムと中日は対照的だ。日本ハムは谷口雄也、近藤健介、大嶋匠、大谷、淺間大基、森山恵佑、今井順之助、清宮幸太郎と強打タイプを多く獲得。俊足タイプは中島卓也、杉谷拳士、西川遥輝、石井一成くらいだ。
中日は俊足タイプが多い岩崎恭平、大島洋平、溝脇隼人、友永翔太、井領雅貴、京田陽太、高松渡がそれにあたる。一方、強打タイプは野本圭、井藤真吾、中田亮二、高橋周平、古本武尊にとどめている。
球界全体で見てみると、楽天、オリックス、ロッテ、阪神、DeNA、巨人が俊足重視だ。ロッテは'15年に平沢大河、'17年に安田尚憲、菅野剛士という強打タイプを指名。巨人、阪神が指名した左打者はほとんどチャンスメーカーで、成功例は阪神の高山俊くらいしかいない。
長打力に期待できる選手が多い広島。
日本ハム以外で強打重視なのが広島だ。俊足タイプが田中広輔くらいなのに対し、強打タイプは岩本貴裕、野間峻祥、西川龍馬、坂倉将吾らが在籍する。今年の新人、永井敦士も50m走5.8秒の俊足だが、高校通算47本塁打と長打力も魅力だ。
ソフトバンクは左打者自体の指名が少ないが、強打タイプの柳田、上林誠知を輩出。一軍の戦力として完全に定着している。
日本ハム、広島、ソフトバンクが近年上位にいるのは、チーム強化のヒントになりそうだ。
“常識のウソ”を一度は疑ってみる、これが今回のテーマに潜むキーワードである。ちなみに、西武は俊足タイプ、強打タイプが一方に偏らず理想的で、ヤクルトは左打者の成功例が少なくカテゴリー分けができなかった。