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大きな心と、大きな投球フォームで
大谷翔平は2つの「壁」を越えていく。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2018/03/01 17:30
2月27日。打者として2試合目のオープン戦出場を終えた大谷翔平が、囲み会見で2度使ったフレーズがある。
まだボールが手についていない様子も……。
2月24日のオープン戦初登板。
大谷は1回1/3で31球を投げ、1本塁打を含む2失点という出来だった。初回は直球を連続して引っ掛けたかと思えば、高く抜ける球も続いた。まだボールが手についていない様子がはっきりと見てとれた。
その大谷は今、日々のキャッチボールでゆっくりと大きなフォームでボールを投げている。テークバックの新たなる感覚をつかもうとしているのではないか。滑りに対する改善の意識はこの辺りに見えてくるように感じた。
また、ブルペンではきつい傾斜のマウンドへの対応に取り組んでいる。
右足の付け根を意識し、真っ直ぐにマウンド上に立つことに時間を割き、投球動作ではマウンドの傾斜に左右されないスムーズな体重移動に気を配っている。
北海道日本ハムファイターズの本拠地札幌ドームや鎌ケ谷の二軍施設のマウンドはメジャー式の固い土であったと聞く。
となれば、彼の今現在の課題は「きつい傾斜」なのではないか。
「あれくらいは想定内」
投手、打者として、類い稀な才能を持ち合わせる大谷翔平でも向き合わなければいけない米国野球環境の2つの壁は、まず「ボール」と「マウンド」にあるようだ。
とは言え、スプリングトレーニングが始まってからはまだ2週間。ルーキー投手の誰もが通る道を歩いているだけにすぎない。
エンゼルスOBでメジャーリーグに9年在籍、日本人最多の517試合に登板した中継ぎ右腕長谷川滋利氏は、キャンプ地を訪れた際にジョークを交えてこう話した。
「僕も(初登板を)見ましたが、あれくらいは想定内。僕らでも滑りましたよ。ダルビッシュはけっこう早くアジャストしていましたね。彼(大谷)はまだ若いので、みなさん(報道陣)があんまり煽らなければ上手くいくと思います(笑)」