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U-17、U-20のW杯に出続けること!
森山佳郎U-16代表監督の深い覚悟。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/03/01 07:30
U-17W杯では、優勝したイングランド代表に決勝T初戦で破れた。森山監督は、その借りを来年の大会で返せるか?
科学的な能力検査「アスリートチェック」。
前回のチームは森山監督が、U-15の時からU-17W杯まで2年半チームを率いることができた。しかし、今回はU-17W杯が10月にあった影響もあり、U-15日本代表は有馬賢二氏がまず監督を務めて、インドネシアで開催されたAFC U-16選手権予選(U-17W杯アジア一次予選)を戦い、今年2月のUAE遠征(2月2日~11日)が森山監督としての最初の合宿となっていた。
それだけに9月に控えた本番(AFC U-16選手権)まで時間が無く、ここから急ピッチでチームを仕上げていかなければいけない状態であった。今回の合宿でまず森山監督が行ったのは、「自分の現在地」を選手達に強烈に知らしめることだったのだ。
その1つが「アスリートチェック」だった。
国立科学スポーツセンターと味の素ナショナルトレーニングセンターに協力してもらい、ジャンプ力、スプリント、敏捷性、筋力、左右のバランスなど選手個々の細かい運動能力を測定、数値化するだけでなく、それぞれの課題や今後のトレーニングメニューなどを作成する。
3日間にわたるアスリートチェックにおいて、少しショッキングな数値が出た。
「フィジカル的に他競技の同学年と比べてもかなり低い数値だったことは、こっちとしてもショックな数字でした。一番低かったのがジャンプ力。全体的に前回の選手達はもうちょっと高かった。でも改善方法を宿題として出したので、たぶんやる選手は強くなって帰って来るだろうし、やらない選手はもう来ないだろうし。
そういうことは僕らが『やれ』と言ってやるものじゃない。自分のこととして真剣に捉えて、自分をプロデュースして、レベルをどんどん上げてくる選手しか呼ばない。代表は人から指示を待って主体的にできない選手がいる場所じゃないんです」
まさにこの指導者としての強い姿勢こそが「森山イズム」であった。
「森山監督ははっきりと言ってくれる人」
格上の相手と戦ってハードな試合を経験し、さらに自らの足りないところを数値として明確に突きつける。
「元々自分は身体能力が高くないと思っていたのですが、今回数値にされて、それをリアルに知ることになりました。フィジカルの部分をもっと上げていかないといけないと思います」
こう語ったのは、ドイツ人の父と日本人の母を持つ185cmの長身CB長田悠里(JFAアカデミー福島U-15)。今回の合宿では長いリーチを活かしたボール奪取力や裏への対応など光るプレーを見せたが、うすうす気付いていた現実を目の前に出されたことで、目の色が変わったという。
「森山監督ははっきりと言ってくれる人。何が問題か、どう修正すべきかが分かりやすいんです」と続けたように、その目にも森山イズムが宿り始めているように見えた。