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U-17、U-20のW杯に出続けること!
森山佳郎U-16代表監督の深い覚悟。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/03/01 07:30
U-17W杯では、優勝したイングランド代表に決勝T初戦で破れた。森山監督は、その借りを来年の大会で返せるか?
菅原由勢や中村敬斗がJで躍動!
どんなに劣勢に立たされても、ピッチ内で選手達が自然と話し合って、すぐに新しい共通意識を構築し直し、組織として常に全力で戦うことができた。
一昨年のAFC U-16選手権準々決勝におけるUAE代表戦、そして昨年のU-17W杯決勝トーナメント初戦のイングランド代表戦は、まさにこのチームの底力を見ることができた良い試合だった。最後までタフに戦い、UAE戦では勝利をたぐり寄せ、イングランド戦はPK負けこそ喫したが、この大会で唯一イングランドを無失点に抑えきっていた。
そして、森山イズムを存分に注入され、巣立っていったDF菅原由勢(名古屋グランパスU-18)がJ1開幕戦でいきなりスタメンフル出場を果たすと、対戦相手のガンバ大阪でもFW中村敬斗が69分から出場し、Jデビューを飾った。
すでに昨年デビューを飾っているMF久保建英も開幕戦で72分から出場するなど、森山イズムを学んだ多くの選手達が、次なるステージで羽ばたこうとしている。
2学年上のチームと本気の試合を。
J1リーグが開幕した2月23日。森山監督はU-16日本代表の合宿に臨んでおり、千葉のフロンティアサッカーフィールドで市立船橋、流通経済大柏と40分ハーフのゲームを2試合行った。
「両方とも最上級生のレギュラークラスの選手を出してくれた。世界大会ではフィジカル的にも2学年上のような相手と戦わないといけない。だからこそ、この中で何ができるかが重要」(森山監督)
前回のチーム立ち上げ時(2015年のU-15日本代表)もこの2チームと練習試合をやっていた。市立船橋と流通経済大柏と言えば、共に全国制覇の豊富な経験があり、高校サッカー界のトップクラスの強豪。中2、中3の選手中心で構成されたU-16日本代表が、学年も上でかつレギュラークラスのメンバーを揃えた強豪とガチンコで勝負をする。容赦のない圧力の中で、どれだけしっかりとプレーができるか。まさに森山監督の愛のムチだった。
「ある意味、ボコボコに負けてくれた方が良いと思っている。今の時期は『自分達はまだ全然足りない』と思わないとダメなんです。
僕はずっと育成年代を見ていますが、15、16歳で『俺は上手いんだ』という顔をしている奴はみんな消えていっているので、選手達にも『それだけにはなるなよ』という話をしました」