“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-17、U-20のW杯に出続けること!
森山佳郎U-16代表監督の深い覚悟。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/03/01 07:30
U-17W杯では、優勝したイングランド代表に決勝T初戦で破れた。森山監督は、その借りを来年の大会で返せるか?
「前回のチームは核になる選手が6、7人いた」
桐光学園の西川も「アスリートチェックで体幹が弱かったですし、ジャンプも足りなかった。数字で露骨に出るのは正直ショックですね。突きつけられた感はあります。でも、課題メニューを出してもらえたので、それを徹底的にやることが成長への鍵だと思っています」と決意を新たにした。
「まだまだ足りない。まだ核となる選手が出て来ていない。前回のチームは今の段階で6、7人は核となる選手がいたので、そういう意味では逆に戦術的な部分をもっと追求する必要がある。
あとはやはり選手個々の成長。悲しいかな代表は日常を見ることができない。それだけにどう個々が日常で自分を変えてくれるか。
選手達には『今のままじゃダメだ!もっと高い意識を持って日々の取り組みの姿勢を強烈に変えてくれ!』と伝えました。その上でイングランド戦のビデオを見せて、『これが世界トップクラスだ。そのトップに対してこいつらはこう戦った』とも話をした。
昨年のU-17W杯に出た選手が、来年U-20W杯を経験して、オリンピックを経験して、世界を継続して経験をしていくことで、フィギュアの羽生結弦選手のように『僕はW杯を知っている』と自信を持って言える選手が日本で増えていけば、また違うステージにいけるかもしれない。僕らはそれを信じて、まずはこのチームをU-17W杯に出場させることをクリアしていかないといけない。この流れを途切らせてはいけない」
森山監督は選手達を一度千尋の谷に突き落とし、そこから這い上がってくる選手達しか呼ばないと、はっきりと彼らに宣言したのだ。
「重要なのは『継続した強化』なんです」
すべてはずっと森山監督が口にしているこの言葉に凝縮されている。
「重要なのは『継続した強化』なんです。U-17W杯世代、U-20杯世代というターゲットエイジが負けたら、その年代以降の強化が尻すぼみになる。経験を積み上げさせるためにも、晩成型の大物を吸い上げるためにも、W杯には出ないといけない。
W杯に出ることを意識して、競争を始めることで、能力がある選手がもっと多くなる。もっともっと経験値も上がる。体感することは凄く重要。成長速度、成長角度を上げるには、外的要因も重要なんです」
日本の継続強化の鍵の一端はまさにこの男が握っていると言っても過言ではない。
「気持ちには引力がある」
この信念が日本の将来をさらに明るく照らしてくれると、筆者は信じている。