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36歳フェデラーが世界1位を奪還。
ヒーロー健在の幸せと待望の次代。
posted2018/02/28 10:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
2週前、36歳6カ月で世界ランキング1位に返り咲いたロジャー・フェデラーは、かつて常識だったテニスプレーヤーの30歳ピーク説を完全に壊した。
フェデラーが子供時代に憧れたボリス・ベッカーもステファン・エドベリもピート・サンプラスも32歳までに引退し、33歳という世界1位の最年長記録を持っていたアンドレ・アガシも36歳のときにはついに引退。37歳で史上最多109個目のツアータイトルを獲得して40歳を過ぎてもプレーし続けたジミー・コナーズの“長寿”は際立つが、それでも最後に1位だったのは30歳のときで、37歳以降にトップ10にランクされることはなかった。
実際フェデラー自身に関しても、30歳を過ぎた頃から「もう終わった」という声が囁かれていたのだ。
全豪OPでは48人の30代が本戦入り。
驚くべき復活と進化を見せるフェデラーに牽引されるように、今のテニス界は30代のプレーヤーが大いに幅をきかせている。トップ100を見れば、その半数に迫ろうかという40人。10年前の2.5倍である。
2012年の全仏オープンで30代が史上最多(当時)の37人が本戦入りしたといってちょっとした話題になったが、そののちも記録は更新され、ついこの間の全豪オープンでは48人だった。しかも6年前の全仏時はそのうち13人にとどまった初戦突破が28人である。
さて、日本の30代男子プレーヤーの代表といえば、33歳の添田豪。最高で47位までいったが現在153位で、先週は京都で行われたチャレンジャー大会に出場していた。その添田に聞いた。同じ30代として、フェデラーの完全復活から得るものは何かあるのか、フェデラーは参考にも刺激にもならないほど格別なのか。
「やっぱりありますね。36歳のフェデラーが1位にいると、自分も年齢を言い訳にできない気がする。逃げ道がないというか(笑)」