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竹内智香は「人として」金を目指す。
自分でボードを作り、感覚で滑る。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byAFLO

posted2018/02/21 17:00

竹内智香は「人として」金を目指す。自分でボードを作り、感覚で滑る。<Number Web> photograph by AFLO

竹内智香にとっては4度目だったソチ五輪では銀メダルを獲得。平昌の目標はもちろん金だ。

負の要素も、すべて乗り越えて前を向く。

 感覚派の竹内が、ソチ五輪後に「選手人生の中で、初めて真剣に取り組んでいる」というフィジカルトレーニング。滑りのセンスに加えて、アスリートとして文句なしの肉体を作り上げ、平昌に挑む。

 そんな目論見の中で昨年もハードなメニューをこなしていたが、ウェイトトレーニング時に指を脱臼した影響で重りをつかむ感触が崩れ、体の左右対称に負荷がかかりづらくなったという。そして、年末には酷く腰を痛めることにつながってしまった。

 長い競技人生でも、ここまで負の要素が重なることはなかった。「それを言い訳にすることだけは絶対にしたくない」と言いながら、竹内はこう続ける。

「もちろん、予想しないこと、望んでいないことがどんどん起きてしまった。でも、私はやっぱりこんな性格だから、前を向くんですよね。平昌で金メダルという、欲しいものを最後に手に入れるための、最後の山場、最後の試練を与えられたのかなと思っています」

「不安要素なんて一切持たないでくださいね」

 迫る大一番。直前まで、地元北海道で調整を進めた。この短期間でも、「人として」という生き方を大事にする彼女らしい、パワーの付け方をしていた。

「本当に周りの人たちの思いを感じる。金メダルを取ってほしい、取らせたいという。そういう思いがすべて私のサポートになり、機運にもつながる気がする。私だけじゃないんですよね、金メダルを取りたいのは。私に関わるすべての人たちが、同じ思いを真剣に持ってくれている。

 ここに来て、ようやく自分の滑りの感覚を取り戻しました。昔の道具も引っ張り出しては、良い時の感触を探ってみたり。練習でもある程度のタイムが出て、誰が見てもいいポジション、いいライン取り、いい走りだった。

 ここ最近は、スノーボードが行く方向に私がただ乗っかっていたという感じだった。でも、ようやく自ら進む方向を決めて滑れるようになった。板に操られるのではなく、しっかりと操る。私の感覚は、これなんです」

 何かに後ろ髪を引かれることなく、キッパリと言い切る竹内。彼女らしい堂々とした姿勢だった。

「起きたネガティブなことを、必ずポジティブな結果に変えられると思っています。だから観ている人たちも、不安要素なんて一切持たないでくださいね」

 5度目の五輪。悲願の金メダルへ。誰が何を言おうと、竹内の見据える頂は変わらない。

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