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内田篤人「ゲーム、楽しかったよ」
感情を無にした時期を乗り越えて。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byGetty Images

posted2018/02/16 17:00

内田篤人「ゲーム、楽しかったよ」感情を無にした時期を乗り越えて。<Number Web> photograph by Getty Images

内田篤人が楽しそうに、真剣にサッカーをしている。その姿がすでに尊いが、本人の目標はまだこんなものではないのだ。

ロッカーでチームメイトにかけた一言。

「攻めても攻めても点が取れないという試合はサッカーではよくある。でも、メチャクチャいいサッカーをしたと思う。絶対にやっていることは間違っていない。自信を持っていい。胸をはっていい」

 中国の強豪相手にシュート21本を放つ一方的な展開ながら、同点弾1本しか得点をあげることができなかった鹿島。ホーム初戦で勝ち点3を上げられず、試合後のロッカールームで悔しさをにじませるチームメイトに対して内田はそう言ったという。

 その発言の裏にも「我慢」という想いが漂っているのかもしれない。

 6月のワールドカップについて繰り返し問われて、内田は2度同じように答えている。

「代表のことはよく聞かれますけど、今、僕は代表に全然入っていないので、今は鹿島で勝ち点を重ねることしか考えていません。鹿島のためにしっかり働きます」

 そして、完全復帰と呼べる目途はあるのかと問われると「チームに勝ってほしい。勝ち続けてなんぼだからね。それで自分もチームも波に乗れるのかな」と。

「いい試合だった」と言いながらも、内田の心を占めているのは、やはり、勝利できなかった悔しさなんだなと改めて思った。そして、それを味わえることの喜びも。

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