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極寒のマイナス20度で7万人が熱狂!
スーパーボウルの魔力とは何か。
text by
別府響(文藝春秋)Hibiki Beppu
photograph byGetty Images
posted2018/02/08 11:15
1試合限定であれば、スーパーボウルは文句なしに世界最大のスポーツイベントである。
アメフトに興味がない人にも認められる文化。
今回の取材を通じて最も感じたことは、「スポーツが文化になる」ということの意味だ。最も印象に残ったのは、ホテルで出会ったある女性の一言だった。彼女は今回、両親の付添いでミネソタを訪れたという。
「私、これまでアメフトに興味もなかったし、見たことも全然なかったのよ。アメリカ人がみんなフットボール狂だと思わないでね(笑)。でも、両親がどうしても一度はスーパーボウルに行きたいというから、今回は一緒に来てみたの」
彼女の言うように、すべての人がスポーツに興味をもつわけではないし、その必要もないと思う。でも、興味がない彼女ですら周囲の熱量に影響を受け、数千kmも離れた極寒の地へとやって来たのである。
アメフトに全く興味がない彼女が、高いお金を払ってスーパーボウルという一大イベントに観戦に来ている事実が、逆にその文化の根強さを際立たせている気がした。
こうしてやって来た人の中には、競技に興味を持ち、ハマっていく人もいるだろう。そういう人はまた別の人を誘って、ファンの輪は広がっていく――まさに好循環だ。
例えば野球の日本シリーズには、どれだけ彼女のような人がいるのだろう。サッカーの天皇杯決勝の観客席に「サッカーに興味がない人」はどれだけいるのだろうか。
当然、文化というのは一朝一夕でできるものではない。でも、彼女の話を聞いて、アメリカ人の持つアメフト文化が、やっぱり少しうらやましくなった。
「両親が喜んでくれたし、イベントも楽しかったから、来てよかったと思うわ。だから来年は、自分で来てみようと思うの」
彼女は、そう言って去って行った。
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