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極寒のマイナス20度で7万人が熱狂!
スーパーボウルの魔力とは何か。
text by
別府響(文藝春秋)Hibiki Beppu
photograph byGetty Images
posted2018/02/08 11:15
1試合限定であれば、スーパーボウルは文句なしに世界最大のスポーツイベントである。
スポーツに縁がなさそうな人もユニフォームで。
そしてそこには文字通り、老若男女が行き交う。ごった返した通りは混雑し、一歩も動けなくなることもしばしばだ。まるで初詣の参道がずっと続いているような路上で、それでもファンたちは楽しそうにフットボール談義をかわし、チームソングを歌い続けていた。
普段はスポーツに縁が無さそうなおばさんが、少年が、緑や紺のユニフォームシャツに袖を通して道を行く。すれ違えば挨拶代わりにそれぞれの贔屓のチームのアピール合戦だ。
「トム・ブレイディがいるんだぜ、ペイトリオッツが負けっこないよ」
「何言ってんだ、イーグルスのディフェンスがシャットアウトだ!」
見ず知らずの人たちが、どこまで本気かわからないテンションで軽い口論をしているシーンを何度も目にした。
NFLのトライアウト種目も体験できる。
スーパーボウルライブから数10m離れると、NFLエクスペリエンスと呼ばれるアトラクション会場もある。
東京ドームサイズのスペースの中でアメフトのプレーを体験したり、NFLで実際に行われているトライアウトと同様の種目にも参加できる。40ヤードダッシュやパス、キックの体験アトラクション、優勝チームに与えられるロンバルディ・トロフィの展示、選手によるサイン会など多彩な催しが行われ、まさにNFLによる体験型テーマパークだ。
他にも殿堂入り選手のユニフォームやギア、チャンピオンズリングの展示や、VRを使ったアトラクション、果ては自分がドラフト入りした気分になれるひな壇なんてものまである。
ここの主役は少年少女たちだろう。
全力でアトラクションを楽しみ、憧れの有名選手のグッズに目を輝かせていた。
繰り返しになるが、これらはすべてたった1試合のためだけに開催されているイベントなのだ。日本企業のブリヂストンをはじめ、各ブースのあちこちに居並ぶ世界的スポンサーの名前の数々にも、目がくらむ思いだった。