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西武の先発問題をこの男が解決する?
平井克典、新球で「自分の仕事」を。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/02/08 11:30
ルーキーイヤーの昨季は2勝0敗4ホールド、防御率は2.40の成績で終えた。
館山昌平のピッチングをつぶさに観察。
ただし、現在のフォームを構築するまでは、自分の感覚だけが頼りだった。
「いちばん自分が投げやすい方法で投げていたら、現在のフォームになったという感じなので、誰かを参考にしたわけではありません」
幾度も投げ込みを行い、最もしっくり来る投げ方を追求した。その結果、打者の手元でぐっと伸びる、力のあるストレートが投げられるようになった。
「フォームについては誰かを参考にしたという経験はないんですが、ピッチング内容に関しては昨年、ヤクルトの館山さん(昌平投手)と対戦する機会があって、館山さんのピッチングはかなり観察させていただきましたね」
2017年5月11日のイースタンリーグ、対ヤクルト戦で先発した平井は、相手の先発で投球フォームも酷似するベテラン、館山のピッチングに見入った。
「投げ終わってベンチに戻ると、代わってマウンドに上がる館山さんのピッチングを見ました。どんなボールだったか、味方のバッターの何気ない会話に聞き耳を立てました。館山さんはすごく細かいコントロールがあるし、どういうカウントで、どういう球種を投げているのか、その配球の意図を考えながら見ていました」
その試合で平井は8イニングスを1失点で抑え、一軍行きに向けてのアピールに成功している。
ポスト牧田でもポスト野上でもなく。
新しく飛び込んだプロの世界は、勉強の連続だったと振り返る。
「昨年、クライマックスシリーズで投げてみて、それまでは、『社会人時代だって負けたら終わりというトーナメントで戦っていたんだから、大丈夫』、『そのときと同じ気持ちで投げればいいんだ』と思っていたんですが、緊張感が全く違いました。何の球種を投げたのか覚えていないくらい舞い上がって、あれほど緊張したのは野球人生で初めてです」
だからこそ、リベンジを果たしたいという思いも強い。
先発ローテーションの一角へという期待とともに、ロングリリーフを任せられることもあり昨今では「ポスト牧田」と呼ばれる機会も多い。ただし練習中の新球、チェンジアップと同様に、ライオンズでの立ち位置もオリジナルを目指そうとしている。
「とにかく、先発でも中継ぎでも、自分は任せられた仕事を果たすだけです。与えられた場所で結果を出したいですね」
ポスト牧田でもなく、ポスト野上でもない、平井克典としての存在感を示すつもりだ。