炎の一筆入魂BACK NUMBER
37歳、「松坂世代」はまだ戦える。
広島・永川勝浩はなぜ諦めないか。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/02/06 07:00
とにかく練習熱心で、野球に対してとこまでも真摯な姿勢で臨む永川の存在そのものが、広島の財産なのである。
球団も現役続行を後押し。37歳目前に手術を決断。
年齢や立場も理解していた。
「限られた選手登録枠を若い選手に譲るべきではないか」と自問しながらも、不完全燃焼の思いは強かった。
「今年(2017年)は思うように動けなかったけど、思い切り動ける状態でプレーしたい」という思いも強かった。
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「まだやれる」
その思いがぶれることはなかった。
球団から肩をたたかれればユニホームを脱ぐ覚悟もあったが、球団からは「引退」の「い」の字も出なかった。それだけでなく、頭にあった手術決断を後押ししてもらった。
「クビと言われても不思議じゃない。球団にはすごく感謝している。恥ずかしい姿は見せられない。覚悟を持ってやりたい」
2008年には広島に7人もいた「松坂世代」。
広島には'08年にシーズン最多7人在籍するなど、計11人の「松坂世代」の選手が在籍していたが、江草仁貴が引退し、梵英心が自由契約となり、とうとう永川勝浩ただ1人となった。
気づけば広島投手陣の中でも最年長。
日本人で下の世代は大きく離れて、2月8日に30歳となる福井優也となる。
だが、ベテランとしてできることはまだまだある。今村猛も以前「ブルペンに永川さんがいると安心感がある」と話していた。
充実の広島中継ぎ陣のバックアップとして期待されるも、本人はベテランとしての扱いを受け入れようとはしない。
「“シーズンのどこかで力になってくれれば”というニュアンスで言われることもあるけど、1年通してバリバリ働けると思っている。契約してもらった球団に少しでも返さないといけないし、大活躍する姿しかイメージしていない」