炎の一筆入魂BACK NUMBER
37歳、「松坂世代」はまだ戦える。
広島・永川勝浩はなぜ諦めないか。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/02/06 07:00
とにかく練習熱心で、野球に対してとこまでも真摯な姿勢で臨む永川の存在そのものが、広島の財産なのである。
はやる気持ちを抑え込んで、ただただリハビリに専念。
2017年10月末のクリーニング手術から、永川の1人での戦いは始まっていた。
術後しばらくは、階段の上り下りも手すりを使わなければたどたどしいほどの状態だった。12月には37歳の誕生日を迎えたが、リハビリと強化のメニューは依然として単調なものばかりだった。結局、連日トレーニングルームにこもることとなった。
年が明け、キャンプ前にはランニングとキャッチボールを再開できるまでに回復。
リハビリは順調も、「(キャンプインの)2月1日から普通にできると思っていた」とうずうずした様子。
それでも、はやる気持ちを無理矢理にでも抑えて、「すべての時間を自分のために費やせることをプラスに捉えたい。走れるようになれば言われなくても走るし、3月には合流できると思う」と必死に前を向いた。
「キャッチボールの時点でレベルが違う」
2月5日、永川は二軍とともに宮崎県日南市に移動した。
まだキャッチボールは50メートル程度。それでも、ともに練習する若手にとっては、永川はいつも特別な存在だ。
ドラフト3位の新人ケムナ・ブラッド・誠(日本文理大)は「キャッチボールの時点でレベルが違う。近くで見ているだけでも勉強になる」と目を丸くする。
永川は決して1人ではない。
復活へ歩む……その背中を後輩たちが見ているのだ。