炎の一筆入魂BACK NUMBER
37歳、「松坂世代」はまだ戦える。
広島・永川勝浩はなぜ諦めないか。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/02/06 07:00
とにかく練習熱心で、野球に対してとこまでも真摯な姿勢で臨む永川の存在そのものが、広島の財産なのである。
37歳。普通のサラリーマンなら、そろそろ……。
37歳。
一般的な会社員ならば、そろそろ肩書をもらうような立場となり、脂の乗りきった世代として新たな責任や任務を背負っていることだろう。一方で、芸能の世界ではまだ若手とくくられることもある年齢でもある。
アスリート界ではすでに現役を退き、指導者となる者や第二の人生を歩んでいる者もいる。プロ野球界で一時代を築いた「松坂世代」も今季、ユニホームを着られる選手は永川らを含めてすぐに数えられる程度にまで減った。
「『(同学年の選手が)励みになる』という言葉にしてしまうと簡単だけど、最後の1人になってやろうくらいの気持ちでやっていかないといけない」
永川だけではない。
「松坂世代」はまだ戦っているのだ。
輝きを取り戻そうとしているのは松坂だけではない。巨人を自由契約となった村田修一も、広島を自由契約となった梵英心も、プロ球団からの誘いを待ち懸命に汗水を流している。
同世代の星となり続けた彼らはもう、全盛期のようなまぶしい輝きを放つ希望とはなれないかもしれない。それでも世代交代の波にのまれながらも奥歯を噛み締め、厳しい境遇に立たされても毅然と立ち向かう。
そんな姿もきっと、同世代に力を与えるに違いない。