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ブルワーズ大型補強とダルビッシュ。
争奪戦は最終局面、カブスが全力か?
posted2018/02/02 08:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
2018年1月30日現在、ダルビッシュ有の行き先が依然として決まらない。
ダルビッシュだけでなく、契約総額1億ドル超え(複数年)と見られる他の3選手(J.D.マルティネス、ジェイク・アリエータ、エリック・ホズマー)の行き先も未定だ。先週いっぱいでなんらかの結論が出るかと思われたが、今年のFAは本当に動きが遅い。チームの補強よりも球団の懐勘定を優先させるのは、大概にしてもらいたい。
そうこうしているうち、ミルウォーキー・ブルワーズが機敏な動きを見せた。
1月25日に、クリスチャン・イェリッチをマーリンズからトレードで獲得したかと思うと、ほぼ同時にFAのロレンゾ・ケインと5年総額8000万ドルで契約を結んだのだ。
これは、眼のつけどころが鋭かった。経営者の替わったマーリンズは、ジャンカルロ・スタントンをヤンキースに、マルセル・オスーナをカーディナルスにいち早くトレードしている。主(あるじ)変われど体質変わらず。もはやこの球団の代名詞となった解体セールの再現だが、こうなれば「黄金の外野陣」が完全瓦解するのは時間の問題だった。
三拍子そろったイェリッチに白羽の矢を立てた。
そこでブルワーズは、最後の砦だったイェリッチに白羽の矢を立てた。
イェリッチは、強打攻守俊足の三拍子そろった外野手である。過去5年間の平均出塁率は3割6分9厘で、OPS+が平均120。四球300、盗塁72という数字も光る。
外野は、右翼でも左翼でも守れる。1991年12月生まれだから、26歳になったばかりで、伸びしろはまだ十分に残されている。左打者に不利だったマーリンズ・パークから、打者の楽園と呼ばれるミラー・パークに本拠地が変更されるのも大歓迎だろう。
ブルワーズ側にも、メリットは大きい。イェリッチは'15年3月に、'21年いっぱいまでの7年契約(総額4957万ドル)をマーリンズと結んでいるので、当分サラリーは上がらない。仮に'22年のオプションに設定されている1500万ドルを支払っても、ブルワーズは今後5年間で5825万ドルを負担するだけですむ。
交換に出した若手は、ルイス・ブリンソン、モンテ・ハリソン(ともに外野手)、イーサン・ディアス(二塁手)、ジョーダン・ヤマモト(投手)の4人。ブリンソンは将来化けるかもしれないが、ずいぶん得な買い物をしたように見える。