ラグビーPRESSBACK NUMBER
サントリーに今も流れるエディー流。
データ、ハードワーク、知的な体力。
text by
永田洋光Hiromitsu Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/01/26 11:00
2年連続の日本一に輝いた沢木敬介監督。エディー流ともまた違うフィットネスへのこだわりが成功の基礎にある。
走り込みではなく、ゲーム形式で実現した強化。
選手1人ひとりのデータを集めて一括管理することで、どの選手の状態がいいのか、どの選手が調子を落としているかを把握し、その上で、それぞれの選手に具体的な数値目標を伝えてクリアを促すことが可能になる。
もちろん、目標をクリアできなければ選手は試合メンバーに選ばれず、クリアできるまで自らを追い込まなければならない。
さらにデータに加えて、各選手の負傷歴やリハビリに要した時間、それぞれの強みや弱みといった特徴も加えて、1人ひとりの「カルテ」を作る。そして、毎週、カルテをもとに選手全員と個人面談をして課題を指摘。そうした日々の積み重ねが、決勝戦の80分間を支えたのだ。
実は、沢木監督は11月の時点で、すでに選手たちのフィットネスについて手応えを感じていた。
「毎日、ゲーム形式で行なうチーム・トレーニングを繰り返したことで、選手たちが、フィットネスはこうあるべきだという水準を超えた。その結果、ただの走り込みのようなトレーニングが不要になり、その時間を、より実戦的で負荷のかかるラグビーのトレーニングにあてることが可能になった。
ラグビーでは、選手たちが走る意欲を持たなければ、いくらでも練習中にサボることができるのですが、今の数値は、選手たちが肉体的に厳しい状況でも、自ら走ることにチャレンジしていることを表している。それだけ、選手たちの意識が変わったのでしょう」
選手にレポートを書かせ、ディスカッションまで。
意識を変えるために、選手たちに考えることも要求した。
たとえば、10月21日にパナソニックに10-21と敗れるや、選手だけではなくスタッフ全員も含めて、その試合を振り返り、何が課題だったのかレポートを書かせた。「レビュー」と沢木監督は呼ぶが、単に敗因を分析するだけではなく、次に勝つためには何が求められるのか。
そのために1人ひとりが何をしなければならないのかに至るまで考えさせて、文書で提出させる。さらに、そのレポートをもとに、チームをいくつかのグループに分けてディスカッションまで行なった。