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ユーベやナポリのオファーを蹴る!
セリエA、地方LOVEな男たち列伝。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/01/25 11:00
リーバはセリエAでは通算241試合で143得点を挙げ、3度の得点王に輝いた。イタリア代表でも通算35得点で'70年W杯の準優勝に貢献。
ユーベを断ったディナターレも男気あふれた。
伝説のFWリーバと同じようにユベントスからの誘いを断った例としては、ウディネーゼの主将だったFWディナターレの例が記憶に新しい。
'06年のカルチョ・スキャンダルから再起の道を辿っていた名門ユーベだが、7位に終わった'09-10年シーズン終了当時は経営陣とフロントが入れ替わり、混乱期にあった。
とはいえ、そこは最多優勝回数を誇る名門ユーベだ。彼らは契約内容に地方クラブでは到底不可能な金額を記し、サインさえすればディナターレとその家族の人生を一変させていたであろう高待遇も保証していた。
だが、彼は当時就任間もないマロッタGMへ「ノー・グラツィエ(ノー・サンキュー)」と告げた。
「ユーベでその他大勢の1人になるより、俺は田舎のウディネで大将をやる方が性に合ってる」
気骨を示したディナターレは、アンチ・ユーベ層からやんやの喝采を浴びた。そして、翌2010-11シーズンにも連続得点王を獲ったことでさらに男を上げた。
ユーベ移籍? 俺は根っからのインテリスタだ。
現役選手で言えば、サッスオーロのエースFWベラルディは、去年もその前の年も夏ごとにユーベからのオファーに「NO」を突きつけている。
ディナターレの時とは打って変わり、現在のユーベは欧州屈指の強豪であり国内の絶対王者だ。
天下のユーベからの誘いを断り続けることで、ベラルディには若くして偏屈者のイメージが定着してしまったが、彼にも言い分はある。
「俺に言わせれば、ユーベからのオファーは“さあ、移籍しろ”と強要されてるみたいなんだよ。それに……俺は根っからのインテリスタだから」
ベラルディはこの先、何年もサッスオーロでくすぶらせるにはあまりにも惜しい才能だ。
監督交代で四苦八苦する今季も何とか残留にまでこぎつければ、北の3強に限らず強豪クラブが獲得へ動く可能性は高い。昨年末、サッスオーロ幹部が明かしたところによると、昨夏の移籍市場で交渉されたベラルディのナポリ移籍は合意成立まで限りなく近かったという。