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カバーニはPSGで過小評価されてる!
ハリル、クリンスマンが知性を絶賛。
text by
クリストフ・ラルシェ&フレデリック・エルメル&バレンティン・パウルッツィ&アレクシス・メヌーゲChristophe Larcher et Frederic Hermel et Valentin Pauluzzi et Alexis Menuge
photograph byAlain Landrain/L'equipe
posted2018/01/19 11:00
リーグアン得点記録も更新したカバーニ。得点を獲り続けた実績は、ネイマールらの脇役に甘んじるものではない。
ネイマールだけでなくカバーニにもPKを蹴らせるべき。
とはいえ彼が世界最高のセンターフォワードのひとりであるのは間違いない。たしかにアグエロのような繊細なテクニックは彼にはないし、レバンドフスキのような戦術的な感覚もない。またガブリエル・ジェズスのような天賦の才も、トップでプレーするようになったクリスティアーノ・ロナウドのスケールの大きさもない。
だが、彼には誰にも引けを取らない勇気があるし、自分を犠牲にできる献身性がある。瞬発力、瞬間的に方向転換する能力も申し分なく、相手ゴール前でダイレクトにパスを通すことができる。
そのうえ彼はチームメイトとして申し分ない。PSGに支配的な個人主義的な傾向に決して染まることがない。周囲から信頼されているのは良く走るからであり、動き回って守備でも労を惜しまないからだ。ロマーリオがゴール前で待つようなスタイルは、もはや完全に過去のものだ。
パリにとって幸運なのはカバーニに知性があり、非の打ちどころがないことだ。彼は自分の資質にのみこだわり、メッシやジダンのようになりたいとはまったく思っていない。関心があるのはチームのなかでどれだけ効果的に能力を生かせるかということだけだ。
だが、PSGの首脳陣は、選手たちの肥大したエゴをうまくコントロールする必要がある。そこがうまくいかないと、チームは危機に陥るかも知れない。ネイマールやムバッペの都合ばかりを最優先すべきではない。
監督は毅然とした態度で、スター選手たちが守るべき規律を確立する。ならばチームのストライカーとして、カバーニにもPKを蹴らせるべきだ。それがネイマールとの補完性を損なうことにはならないのだから」
イブラヒモビッチが去って新たな次元に到達した。
<ステファン・シャプイサ(元ドルトムント、スイス代表103試合出場)>
「どこの国も同じだろうがスイスでも、PSGとキラ星のごとく輝くスター選手たちについては、この夏からとても注目されている。カバーニに関しては、すべてを兼ね備えたストライカーというイメージだ。得点能力が高く、ボールを失った際に取り返すための努力を惜しまない。イブラヒモビッチが去ってから、新たな次元に到達したように思える。ズラタンがチームメイトだったときには、彼の最高の姿を見せられるように腐心していた。
だが、今は違う。すべての責任を引き受けて爆発している。独特の嗅覚があってゴール前でとりわけその力は発揮される。レアルやバルサ、バイエルン、プレミアで活躍するストライカーたちと同レベルの、世界最高のフォワードのひとりであるのは間違いない。
春が近づくにつれて期待はさらに高まる。これからはじまるチャンピオンズリーグの決勝ラウンドでは、決定的なゴールを量産するだろう。