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妊娠9カ月までコートサイドに立つ。
監督・竹下佳江の求心力の源は何か。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byAFLO SPORT

posted2018/01/11 08:00

妊娠9カ月までコートサイドに立つ。監督・竹下佳江の求心力の源は何か。<Number Web> photograph by AFLO SPORT

竹下率いるヴィクトリーナ姫路は、昨年12月の天皇杯・皇后杯ファイナルラウンドに初出場。成果は着実に出始めている。

竹下が選手に突きつけた「レベルが低すぎる」。

 そんなチームが変わるきっかけは、昨年9月に行われた近畿総合選手権大会だった。その1回戦で、姫路は関西大学に敗れた。

 試合後、竹下監督は選手たちに「レベルが低すぎる」と現実を突きつけた。

「選手が個々で動いていて、バラバラでチームじゃないから戦いきれない。本人たちも気づいて、そこからちょっとずつチームらしくなってきましたね」

 姫路は、竹下と北京五輪やJTでチームメイトだった河合由貴や、元デンソーの片下恭子、元久光製薬の筒井視穂子などの元Vリーガーもいれば、トライアウトで入団した経験の浅い選手もいる。年齢も35歳から18歳まで幅広い。

V・チャレンジリーグ仙台とのチーム譲渡騒動。

 昨年9月には、仙台ベルフィーユから3人の選手が加入した。

 そこに至るまでには紆余曲折があった。昨季までV・チャレンジリーグIに所属していた仙台は、昨年6月、財務状況の悪化を理由にVリーグ機構から退社勧告を受けた。

 仙台のオーナーは姫路にチーム譲渡を持ちかけており、姫路はそれを受け入れたことで、仙台が保持していたチャレンジリーグIの出場資格を引き継ぎ、今季からチャレンジリーグIに出場することになった。

 しかし何も知らされないまま全体移籍の話を進められた仙台の選手たちには、不信感が募った。結果的に姫路への移籍を希望する選手が少なかったため譲渡が無効とされ、今度は姫路のチャレンジリーグ参加が取り消された。

 事情を知らなかったのは、姫路の選手たちも同じだった。あくまでも仙台のオーナーと姫路のフロントの間で行われた交渉で、選手はもとより竹下監督も交渉には関わっていない。その中でチャレンジリーグ参戦が突然決まっては消え、姫路の選手たちも振り回された。竹下監督は言う。

「選手たちが一番かわいそうでした。『私たち、悪者になっちゃうよね』とうちの選手が言っていたので、『見え方としてはそうかもしれないけど、でも私たちが何か悪いことをしたわけじゃないから、見られる目はちょっと厳しいかもしれないけど、頑張っていれば少しずつみんなの目も変わってくるよ』という話をしました。選手たちはよく我慢して、えらかったなと思います」

【次ページ】 移籍を決断した選手に竹下は「守るから」。

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