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深夜、モスクワからの国際電話。
カズさんが話したかったこと。
text by
瀬尾泰信(Number編集部)Yasunobu Seo
photograph byKazuyoshi Miura
posted2018/01/04 07:00
ドログバ、ロナウジーニョ、プジョル、セードルフら……FIFAレジェンドたちと共に食事を。日本人選手でここまで世界と渡り合える選手は、そうはいない。
OBも現役選手もFIFAのイベントにどんどん出て欲しい。
2つ目は、2016年春に就任したFIFAのインファンティーノ会長とじっくり話ができたこと。
「ボバンが会長の補佐を務めているということで、ボバンを交えていろいろ話したけど、インファンティーノ会長は、これまでサッカー界を支えてきたレジェンドたちへの敬意を最大限示したいとのことで、今回これだけ多くのレジェンドを抽選会に招いたと言っていました。
これからも、こういった活動を行いながら、オープンな形でFIFAを改革していきたい、と話していたね。これからは、僕もそうだけど、ヒデだったり今の代表の中心選手もこういう催しに呼ばれることが多くなると思う。そのときは臆せずコミュニケーションをとって、こういう面でも日本の存在感を発揮して欲しいよね」
50歳で現役と伝えると、レジェンド達も驚きの表情に。
そしてもう1つは、誰もがカズさんが50歳で現役を続けていることに驚き、また心の底から喜んでくれたこと。
「フランスのデサイーは、僕がまだ現役なんだと話すと『ホッホー!』と変な声を出してた。デンマーク代表のGKだったシュマイケルも、僕が50歳だと話すと『アンビリーバブル!』と目を丸くしてた。モスクワのホテルのジムでトレーニングをしていたら、元フランス代表のブランが寄ってきて、『いつもこんなにキツくやってるのか?』と聞いてきてね。『ずっとやってるよ』と答えたら、彼は両手を挙げてあきれたような仕草を見せていたよ(笑)。そのときはトレーニングの強度は本当に低くて、コンディションを整えるくらいのメニューだったんだけどね」
そう。50歳のカズさんは2018年も現役選手として横浜FCと契約を交わし、プレーを続ける。
「自分は去年、試合中の怪我だったから仕方がないけど、納得のいかないシーズンを送った。だからこそ2018年は、もっと頑張らなきゃいけないし、もっとピッチで存在感を示したい。新年も2日に恒例の初蹴りをやって、5日からこのオフ2度目のグアムキャンプで1年通して動ける体を作っていくつもりだよ」
三浦知良が、プロサッカー選手として2018年、33年目のシーズンを迎えること。
それが取材者として、カズさんの1ファンとして、何よりも嬉しいことだった。