プロ野球PRESSBACK NUMBER
2017年の中日は臥薪嘗胆だった……。
京田陽太、大野奨太から反撃開始だ!
text by
伊藤哲也Tetsuya Ito
photograph byKyodo News
posted2018/01/04 11:00
驚異の新人・京田も、松坂の入団に関しては興味津々。「僕からすればスーパースターですから。一緒にプレーできたら嬉しいです」とコメント。
「本当に左方向にねちっこくという意識で」
森監督「お前の持ち味はなんだ?」
京田「足です」
森監督「そのためには何を?」
京田「低い球を打つことです」
森監督「そうだろ。おまえはずっとショートゴロを打っておきゃいいんだ」
時間にして約10分ほどの青空対談。京田はプロの速球に詰まるのを恐れ、早めに始動して引っ張る傾向にあった。これを指揮官の言葉によって中堅方向から左方向へと意識改革したのだ。
京田の俊足なら詰まってボテボテのゴロでも、内野安打を奪える。
これが奏功した。
翌月2日の広島戦。エース野村祐輔から左前打を放ったのを皮切りにすべて中堅から左方向に快音を響かせプロ初の猛打賞。
「小さくなるわけではないけど、本当に左方向にねちっこくという意識で打って、うまくいった。監督もうれしそうな顔をしていたのが印象的です」
京田はこう声を弾ませた。
これも新人の並外れた「対応力」がなせる業。キャンプでの低評価をみるみる覆し、安打を量産していった。
ついに井端の後継者が現れた!
中堅から左方向へのねちっこい打撃を意識したことで、おのずと球を最後まで見極められる。その副産物として、内角の変化球を引っ張りスタンドに放り込むシーンも生まれた。終わってみれば、新人の149安打は歴代5位。セでは1958年の長嶋茂雄(巨人)の153安打に次いで多かった。
8月9日の広島戦では5安打も記録。これは新人の猛打賞記録を持つ長嶋すらできなかった「快挙」だ。
DeNAの濱口遥大との決戦と見られた新人王レースも堂々と制して、今や中日にとって欠かせない存在となったと言える。
井端の後継者として、遊撃手のポジションが固まったことはチームにとって大きなプラスだ。
そしてもう1つ、チーム再建に向け欠かせないのが正捕手の存在だ。黄金時代を築いてきた名捕手・谷繁の後継者育成は、中日にとって長年の課題だった。