プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
王者オカダが誓ったドーム満員伝説。
「幸せの雨」という名の招待状とは。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/01/09 16:30
新たな「オカダ・カズチカ像」をファンに見せつけることはできたのか……。IWGP王者としての試練は続く。
「感動の雨」「驚きの雨」、そして……。
それでもオカダらしく、降らせる雨の優先順位は「金の雨」が1番だという。
今の新日本プロレスに欠けているものは「驚き」だから、私はまず「驚きの雨」に期待したい。突拍子もない驚きに遭遇したいと思っている。
だが、私がもっと気になるのは「幸せの雨」だ。オカダが「幸せの雨」を降らしてくれるならば、その雨に濡れてみたいとも思う。
プロレスを見て幸せになる――というのはなかなか難しいと思うからだ。
もし、オカダが言うように「幸せの雨」を本当に降らすことが出来たなら、プロレスは大きく変わるだろう。
「幸せの雨」は、プロレスの新たなステップとなるか?
激しい試合に、すごいものを見たという実感はある。元気が出るプロレスや、ただ「よかった」と感動するプロレスならそんなに難しくはないかもしれない。
かつてブルース・リーの映画を見終わった後に、映画館の外で奇声を発してカンフーキックのまねをしていた人が多くいたように、プロレスを見て元気になることはできる。
だが、「幸せ」というのはもっと漠然としていて至極むずかしい。
旅先で、うまい料理に出会って、幸せを感じることがある。好みのワインや期待以上のビールに巡り合って幸福感を味わうことがある。
それと同じようにオカダのプロレスを見て、もし本当に幸せを感じることができたなら……私はオカダに至極感謝することになるだろう。
それはプロレスの新しい領域とも言えるのだから。