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宮里美香はなぜ現役を続行するか。
踏みとどまらせた“先輩”藍の言葉。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2017/12/07 07:00
9年もの長きの間、米女子ツアーで戦い続けてきた宮里。その偉業は、次世代へと再び引き継がれていくはずだ。
引退を心に決めた後、宮里藍の言葉を聞いた。
2017年シーズン。悩んだ末に、シーズン中にも関わらず5月半ばから約2カ月間の休養を決意した。
最初にゴルフを習ったのは小学2年生の時。1カ月間もクラブを握らなかったのは、本格的に取り組み始めた中学生以来初めてのことだった。
7月の「全米女子オープン」から復帰したが、相変わらず勝ちたい気持ちは湧いてこない。
結局、今季は10試合に出場して予選通過は2試合のみ、トップ10入りは一度もなかった。
世界最高峰の女子ゴルフツアーで勝負するには、強い気持ちが絶対必要だ。それは、長年戦ってきた宮里自身が一番よく分かっている。
「もうゴルフを辞めよう」
宮里は心を決めた……つもりだった。
彼女を思いとどまらせたのは、9月に引退した宮里藍の言葉だった。
今度は「楽しいゴルフ」が目標。
10月に地元の沖縄で宮里藍と会った。
「今の美香ちゃんの時(28歳)に辞めようと思ったけど、辞めなくて良かったな」
ふとした会話の流れで漏れた、先輩の本音が心に響いた。プロデビュー当時のように、何もかも新鮮で練習や試合が楽しかった時期とは違う。
「自分もそういう(ベテランの)年齢になってきたんだろうな」
「もうちょっと頑張ってみよう」
宮里藍の引退を知ることによって、逆に、最終予選会の出場を決めた。
宮里は、最終予選会に出場するにあたり、「楽しいゴルフ」を目標にした。五輪代表を目指した時期は、目先の結果を求めすぎて守りのゴルフばかりしていたからだ。