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優勝と準優勝は、何もかもが全く違う。
浦和のACL制覇が教えてくれること。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byAFLO
posted2017/11/27 11:30
ペトロヴィッチ前監督が鍛え上げてきたチームに、堀監督が勝負強さを植えつけた。今のレッズを「勝負弱い」と呼ぶことは誰もできないはずだ。
海外でのCWCに初めて出場する日本チームに。
今や10年前の優勝を知るメンバーは阿部と平川忠亮の2人だけになった。若手から中堅に足を踏み入れようとしていた阿部は、海外移籍を経てチームに戻り、ベテランとして不動のキャプテンになった。その阿部は万感の思いを胸に、優勝の喜びを噛みしめるように語った。
「簡単な試合は1つもなかったけど、選手だけで戦っているわけでは決してなかったし、レッズに関わっている方、サポーターが一緒に戦ってくれた。僕らだけでなく、皆さんもそういう雰囲気を感じてくれたと思うし、非常に力強かった。本当に、ここで勝つのと負けるのではだいぶ差があるからね。
みんなが喜んでいる顔、スタンドの顔も見えて、選手の笑顔もそうだけど、真っ赤なサポーターの笑顔を見るのが一番響くから。それができて良かったと思うし、それをしたかった。これを今後に生かしていかないといけないと思うし、先につなげていく戦いが待っているから」
浦和は「日本からアジアへ、アジアから世界へ」というものをクラブのスローガンに、'07年の優勝からクラブワールドカップの3位に羽ばたいた。その後、その言葉とは裏腹に苦しい時間を過ごし、気が付けば10年が経った。
それでも今回、日本のチームとして初めて、海外で開催されるクラブワールドカップの舞台に立つ。ACLの優勝をプライドに持ち続けたクラブは、またしても国際舞台という点で日本の先駆者になる。
確かに、相手を圧倒するような勝ち方ではなかったのかもしれない。だが、勝利という二文字に対して、どれだけフォーカスしてストイックになれるのか。それこそが、勝者のメンタリティーの最たるものだ。浦和がこの日に示したものは、その言葉を体現して余りあるものだった。