リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
レアルと“BBC”がリーガで機能不全。
ロナウド&ベンゼマ不振の原因は。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2017/11/23 08:00
CLアポエル戦では復調のゴールを決めたロナウドとベンゼマ。リーガでも得点を量産して雑音を封じられるか。
ベンゼマへの非難の指笛を本人が気にしている。
一方、ベンゼマはシュートの数からして少なく、8試合556分で放ったのはわずかに18本(枠内へ飛んだのは7本)。得点はC・ロナウドと同じ“1”である。
「現代のセンターフォワードはゴールを決めるだけでなく、よく動き、うまいパスを出し、アシストもする必要がある。もちろん自分でゴールを決めたいけれど、大事なのはチームの勝利だから他の仕事もしなきゃいけない」
今年9月の契約延長時こう語っているベンゼマは、シュートにせよゴールにせよ、数字の多寡は問題ではないと考えているのだろうが、9番を背負った選手にファンが求めるのもやはり得点だろう。現にサンティアゴ・ベルナベウの観客はベンゼマに対して非難の指笛を吹くようになっている。そして、これをベンゼマは気にしているとクラブ関係者は言う。
マドリーのユニフォームを着て長い自分に――。
自我を出すことなくチームのためにプレイする自分に――。
その仕打ちはなんだ? というわけだ。
負傷がちなベイルに代わってイスコが好調なのが救い。
こんな悩ましい状態にあるマドリーだが、イスコの好調という明るい話題もある。なにしろ10月以降の6試合で4得点2アシストを記録しているのだ。
いまやBBCに代わってマドリーを救う存在となったイスコだが、技術的にも戦術的にも自分は以前のままだという。唯一変わったのは、本人によると、継続的に出場機会が与えられるようになったこと。
「大事な試合にも前より出してもらえるようになった。信頼されると、今まではやろうとしなかったことをやってみようという気になる」
そのきっかけは、皮肉なことにチームを苦しめている故障だ。
「ギャレス(・ベイル)のケガが長引く中、僕はしっかり練習しながらチャンスを待っていた。こんな風に人生ががらっと変わる瞬間がサッカーにはあるんだ」