酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平のメジャー成績を大胆予想。
投手では11勝。一方野手では……。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2017/11/20 10:30
打って投げて大活躍となれば“ベーブルースの再来”とアメリカでも騒がれるだろう。果たして大谷の二刀流はMLBでも通用するか。
MLBで成績を残した先輩たちも、日本時代より……。
1995年の野茂英雄以来、NPBからは多くの投手がMLBに渡った。成功した投手もいたが、そうでない投手もいた。そして、MLBで一人前の活躍をした選手でも、NPB時代より成績を落とした投手が多かった。
NPBからMLBに移籍した投手の日米成績を比較すると、一定の方向性が見えてくる。MLBで500イニング以上投げた選手の投手成績のデータを比較すると以下のようになる。
なお、大家友和はMLBで1070回投げているが、NPBでの実績がほとんどないので、割愛する。「H9」は9イニング当たりの被安打、「K9」は9イニング当たりの奪三振数、「HR9」は、9イニング当たりの被本塁打、「IP/G」は1登板当りのイニング数、「W/G」は1試合当たりの勝利数。NPBの成績は、渡米前のものだけ。日本再復帰後の成績は含まない。
大リーグに移籍すると、被本塁打が大幅増加。
10人いる投手のほとんどが、防御率は悪化し、被安打も悪化している。そして被本塁打は大幅に増加している。ダルビッシュは2.4倍、田中将大に至っては3倍近い。ただし奪三振は増えている投手が5人というのは、投球スタイルが変わったのだろう。1登板当りのイニング数は減っている投手が8人、1試合当たりの勝利数も8人が少なくなっている。
トータルで見れば、錚々たる日本のエース級も、MLBに行けば軒並み成績は落ちるのだ。日米には“実力格差”があり、投手成績の「交換レート」も1:1ではないのだ。
その中で黒田博樹だけは、NPB時代よりもほとんどの数値が良くなっている。彼はMLBにわたって投球スタイルを変え、適応した稀有な例だ。