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今も右目の横には傷跡が……。
オリ・小林慶祐が目指す復活の道。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2017/11/15 10:30

今も右目の横には傷跡が……。オリ・小林慶祐が目指す復活の道。<Number Web> photograph by Kyodo News

小林慶祐は社会人を経由してプロ入りした1年目から35登板し、プロでの居場所を見つけた。

本人は来季の先発を目指して課題に目を向ける。

 しかし、小林慶祐本人の試合後の言葉は、“投げられたからよし”とは程遠かった。

「よくなかったですね。先発とリリーフの違い、先発として自ら試合の流れを作る難しさがよくわかりました。リリーフは初回からバンバンストレートで押していけるけど、先発はやっぱりいろいろな球を混ぜていろんなコースを使っていかないと、あとのピッチャーも投げづらくなるし、試合がうまくいかない。

 かといってそれを意識しすぎると今日の初回みたいになってしまう。今日は自分の中でまっすぐの感覚があまりよくなかったし、変化球もよくなかった。(登板の)間が空いていたからというんじゃなく、単に自分の実力がなかったということ。学ぶことも多かったので、どうにか改善していかないと」

 投げられてホッとしたというような話は一言もなく、課題ばかりが口をついたのは、前しか見ていないからだ。小林にとってこの日は、復帰登板という意味合い以上に、来季の先発のチャンスをつかむためのテスト登板という意味合いが強かった。

「1回もムダにできないですから。自分はこの年で(プロに)入っているので、チャンスは若いヤツよりは少ないとわかっていますから」

福良監督が活躍した若手として名指し。

 小林は東京情報大から日本生命を経て、ドラフト5位で指名され、今年24歳でプロ入りした。ルーキーイヤーはリリーフで35試合に登板し防御率3.98。球に威力があって投げっぷりもよく、福良淳一監督は、今季活躍した若手投手の1人として小林の名前を挙げていた。そして来季に向け、小林を先発にという構想が持ち上がった。

「変化球を多く持っているし、角度がある。先発にはいろいろな種類のピッチャーがいたほうがいいし、層を厚くするためにも、面白いんじゃないか」と小林コーチ。

 来年、重要なポジションに食い込めるかどうかの戦いはすでに始まっており、過去を引きずっている時間はないと小林慶祐は考える。

「もう次の年のことを考えないと。1年目のことは忘れて、もう来シーズンに向けてやっています」

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