ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
賞金王争いは夫婦vs.会長vs.連覇。
バラエティー豊富な3人の珍記録。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2017/11/01 07:00
今季1勝ながら高水準のプレーを見せている小平。宮里と池田との激しいつばぜり合いで、シーズン終盤戦も盛り上げる。
朝でも毎晩でも「ステーキOK」な肉食スタイル。
テレビでおなじみの夫人はタレント&解説業の傍ら、優勝のチャンスがあると見るや週末には応援に駆け付ける姿も度々見られる。ただそれでいて、差し出るわけでもなく、海外でのスポット参戦時も献身的に夫を見守るような姿が印象的だ。それと同時に自身が会場に足を運ぶことで、夫も含めた年齢的に若いサポートスタッフの背筋をピンと伸ばすような役割も担っているのかもしれない。
小平は伸び盛りの20代後半という年齢だけでなく、身体が強いのも長所と言える。古閑さんによれば、「彼の主食は肉」。赤身肉がとにかく好きで、朝からでも毎晩でも「ステーキでOK」というスタイル。とはいえ食生活に気を払う夫人はそうはいかないらしく、ある日、夫婦で食物アレルギー反応を調べる検査に出向いたこともあったが「彼は悪性の反応が全然出なくて……」と驚くばかり。
この肉食っぷりは、いずれ米国でプレーする上で有利に働くかもしれない。
古閑さんは女王になった年に1億2085万4137円を獲得した。小平は5試合を残して1億1227万4813円で、賞金王になるためには“夫人越え”は必須といえる。ちなみに生涯獲得賞金は古閑さんは5億6834万8878円で、小平は目下3億9212万2549円。夫婦間の覇権奪還はひとまず、来年以降に取っておけばいい。
宮里にかかっているのは「選手会長で賞金王」。
小平を僅差で追う宮里優作は、言わずと知れた宮里藍の兄、宮里3きょうだいの次男である。彼にかかっているのは史上初の「きょうだい賞金(女)王」……かと思いきや、妹は意外にも日本ツアーでも女王になることなく('04年、'05の2位が最高)、今秋クラブを置いているのだ。
宮里にかかるのは「史上初の選手会長賞金王」である。日本ゴルフツアー機構選手会のリーダーに就任して2年目。0勝に終わった昨年の悔しさを晴らすべく、今年は4月末から中日クラウンズ、メジャーの日本プロ選手権・日清カップヌードル杯と2連勝。結婚後に居を構える名古屋エリア、そして地元の沖縄で勝利したのだ。
選手会長という職務はなかなか過酷で、これまで在任中に賞金王を手にしたプレーヤーはいない。'92年の倉本昌弘、'01年の片山晋呉は、翌年それぞれ尾崎将司、伊澤利光にタイトルを譲った。前会長の池田も、'13年からの就任3年でそれぞれ1勝に終わり、バトンを譲った途端、'16年の賞金王になった。