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賞金王争いは夫婦vs.会長vs.連覇。
バラエティー豊富な3人の珍記録。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byAFLO

posted2017/11/01 07:00

賞金王争いは夫婦vs.会長vs.連覇。バラエティー豊富な3人の珍記録。<Number Web> photograph by AFLO

今季1勝ながら高水準のプレーを見せている小平。宮里と池田との激しいつばぜり合いで、シーズン終盤戦も盛り上げる。

より攻撃的になり、狙った試合で勝てている。

 夏場からの活躍は海の向こうで溜まった鬱憤を晴らすようでもあるが、上述の2人に比べて、池田は成績の浮沈が大きい。今年の国内の試合では予選落ちこそないが、50位以下で終えた試合が4回。ドライビングディスタンスが前年より13ヤード以上伸びて296.66ヤード(全体5位)となった一方で、フェアウェイキープ率は約7ポイントダウンの49.27%(全体87位)と、スタイルがより攻撃的になったことがうかがえる。

 ただ、ひとたびチャンスが来たとなれば、それを全力でもぎ取りに行き、勝ち切る力と経験が突出している。10月、日本オープンで首位に立った2日目のラウンド後、池田は「今年は芥屋(RIZAP KBCオーガスタ)で勝って、輪厚(ANAオープン)で勝った。狙った試合で勝てている。その次に、いま勝ちたいのはこの試合だからね」と言った。その2日後、アマチュアの金谷拓実を相手に苦戦したものの、2度目のナショナルオープン制覇をきっちり遂げた。

 さて池田と、ライバルになる2人との違いと言えばもう1つ。3人のうち、彼はただひとり独身だ。思い出すのは前年末、関係者を集めて開催した、賞金王戴冠を祝うパーティでのこと。母・ゆみさんはマイクを握って来客者に御礼の挨拶をした際、主役に目をやって言葉を向けた。

「そろそろ結婚するとか、そういったお話はないのでしょうか……?」

 爆笑に包まれた会場で、池田は気まずいやら、照れくさいやらで、「まだ、ありません」と苦笑い。祝賀会が再び開かれた時には、本件についてのアップデートもお聞かせ願いたい。

3人とも賞金王のその先、海外を見据えている。

 日本勢が占めているトップ3だけでなく、今年は目下ランキング4位の長距離砲チャン・キム、待望の初勝利をマークした25歳の今平周吾以下にも、逆転賞金王のチャンスが残されている。

 ただ、数年前の賞金王争いと様子が違うのが、各選手が“賞金王のタイトルそのもの”以上に目指すものがあることだ。

 小平は「賞金王にあまり興味がない。それよりも世界ランキングで50位以内に入りたい」と公言し、来年度のマスターズ出場を狙う。宮里は日本ツアーのシーズン終了後のアジアンツアー参戦、年明けの予選会出場などを画策しており、池田が米ツアーの再挑戦を睨んでいるのは言うまでもない。

“タイトルの先”を見据えた賞金王争いは、真冬に向かうにつれて熱を帯びていく。

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