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“身の丈”ゴルフでマスターズを席巻。
14歳の天才グァン、強さの秘密を探る。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2013/04/18 12:20

“身の丈”ゴルフでマスターズを席巻。14歳の天才グァン、強さの秘密を探る。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

マスターズ最終日。オーガスタ・ナショナルのグリーン上を歩きながらパトロンたちに挨拶をするグァン。そのプレースタイルや佇まいまでもが、すべて大人びて見えた14歳だった。

 松山英樹の目には、その背中がしっかりと映っていたはずだった。

 昨年11月、タイで行われたアジアパシフィック・アマチュア選手権は、翌'13年のマスターズ出場権1枠を争う一戦。大会3連覇を狙う“日本のスーパーアマ”にとって、シーズンで一番の勝負所だった。

 ところが初日からトップに立った相手は、その華奢な体躯をどんどん小さくしていく。ラウンド中「このまま(相手の)スコアが伸びるとは思わない」と自らを鼓舞しても、灼熱の陽射しの下、その背中は遠くなっていくばかりだった。

 敗れた松山。マスターズへの道が断たれ、目を真っ赤にしながら、思わずこぼした。

「あいつが……オーガスタに行くのか……」

 そんな風に、少し高いところから視線をやったのも無理はない。背中の主は、腫れぼったい唇と、一昔前の中学生みたいな丸刈り頭が印象的な子供。というか、ホントに14歳の中学生だったのだから。

1998年生まれの中国の天才少年、グァン・ティンラン。

 中国出身のグァン・ティンラン(関天朗)は'98年10月、医者の父ハンワンさんと、電気関連のエンジニアだった母ホンユさんの間に生まれた。4歳でゴルフを始めた彼は、世界中の年代別トーナメントで90勝あまりを挙げてきた天才少年である。

 1年のうち3カ月は米国西海岸で過ごし、公式会見も英語でこなすほどのエリート。文武両道、広州の学校でもトップクラスの成績優秀者だという。

 グァンはこのマスターズ予選を見事通過したことで、ゴルフ界に金字塔を打ち立てることになった。

 16歳11カ月21日で2010年大会に出場したイタリアのマッテオ・マナセロの記録を大幅に更新し、14歳5カ月17日の史上最年少出場記録の樹立が自動的に決定。タイガー・ウッズも「僕のマスターズ初優勝('97年)の時には、まだ生まれてもいなかった選手がプレーするとはね……」と苦笑いしたものである。

 しかしこの4月。

 ゴルフの祭典で彼は、今度は世界を驚かせてみせたのである。

【次ページ】 身体が未熟で飛距離が全く出ないグァンだが……。

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