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Wシリーズを襲ったグリエル問題。
ダルビッシュの“まとめ方”が凄い。
posted2017/10/31 11:30
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
AFLO
10月28日、ヒューストンで行われたワールドシリーズ第3戦、ダルビッシュ有投手が2回途中4失点で敗戦投手になった。
とても悔しい思いをしたことだろうが、それでも彼は試合後、素晴らしい態度で“あのこと”について話している。それもツイッターや自身のブログではなく、メインストリームのメディアを使って。
“あのこと”とは2回裏、ダルビッシュから先制ソロ本塁打を放った元DeNAでアストロズのグリエル一塁手が、ダッグアウトに帰った後に目尻を横に引っ張る“アジア人の目”を意味するジェスチャーをしたことについて、だ。
ダルビッシュは試合後、囲み会見の序盤でこう言っている。
「(ジェスチャーのビデオは)もちろん、それは見ましたけど……まあ、何て言うのかな、自分としてはあまり気にしてないというか、あれですけど、やっぱりアストロズにもアジアのファンもいるでしょうし、世界中にアジアの人もいっぱいいますし、そういう人たちに対してやっぱり、何て言うのかな……。人間的にもやっぱりそうですし、アストロズの球団としてもちょっとこう、品格が落ちてしまうんじゃないかなと思いますけどね」
2カ月の取材で、グリエルに不快な思いをしたことはない。
にわかには信じがたいことだった。なぜなら今年、青木宣親外野手を担当していたこともあってキャンプから2カ月ぐらいアストロズを取材したが、その間グリエルの言動で不快な思いをしたことは一度もなかったからだ。
グリエルのジェスチャーはテレビ中継で流されてしまったために、瞬く間にSNSに広がってしまった。グリエルは試合後、通訳を通じてこう言っている。
「誰も攻撃したつもりはなかった。彼も日本にいる誰のことも攻撃するつもりはなかった。僕は日本でプレーしたし、とてもリスペクトしている」
同時にこうも言っている。
「キューバではアジアから来た人は全員、『Chino』と呼んでいる。日本人とか中国人とか呼ばないで、彼らのことを『Chino』と呼んでいるんだ」