月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
巨人vs.DeNAは清宮幸太郎にも影響!?
プチ鹿島9月のスポーツ新聞時評。
posted2017/10/02 17:45
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Katsuro Okazawa
「さぁ0差 伝説10・8再現!!」(9月29日)
桑田真澄がマウンド上で歓喜する1994年の「伝説」シーンを一面に持ってきたスポーツ報知。
遂に0差だというお祭り&決戦感。ああ、秋です、天王山です。
しかしこれ、3位争いなのである……。優勝争いではない……。
いや、これぞスポーツ新聞!
横浜DeNAと巨人のセ・リーグの激烈な3位争いは、両チームのファンにとってはドキドキハラハラの毎日。巨人一筋のスポーツ報知が興奮するのも当然である。
「白なのに黒だとは書かない。負けたのに勝ったとは書かないし、打ってもないのに打ったとは書かない。でも……何て言ったらいいんだろう。スポーツ新聞です。ここだけの話だけど、記事を書く時は少し盛り気味に書きます」
デイリースポーツの名物コラム『松とら屋本舗』の一節である(2016年3月30日)。
「嘘は書かないが盛り気味に書く」という部分を馬鹿にしてはいけない。これは新聞(送り手)と読者(受け手)に信頼関係が成り立ってるからこそできる芸だと思う。
偏っていることを前提にして楽しむ所作が求められるスポーツ新聞。実はリテラシーが高い。読者と新聞とが、理想的な関係を結んでいる。
ドラフトの結果にも影響した……3位と4位の関係。
ちなみに私がこの3位争いでひそかに注目しているのは今月末のドラフト会議だ。
早実の清宮幸太郎を多くの球団が1位指名するはず。
当然ながら、ペナントレースの3位球団と4位球団ではくじ引きの順番が異なる。横浜DeNAと巨人が清宮を指名するかどうかはわからないが「あのとき頑張って3位になってよかった、クジの残り物には福があった」なのか、それとも「今年は散々だったけど4位で早めにクジを引けてよかった、最後に福があった」なのか。
ドラフトの結果次第では後世まで語れる3位争いかもしれない。
盛り上がった3位争いについて書いたが、「広島カープ連覇」「福岡ソフトバンク2年ぶりV」も9月。強すぎて優勝が早すぎて、なんだか懐かしい。