リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
レアル撃破ベティス、好調の秘訣。
新監督はクライフとチェスがお好き。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2017/09/30 09:00
日本でもサッカーと将棋は似ていると言われる。アンダルシアの地でセティエン監督はボードゲームの有効性を実践している。
監督でも対局でも、秩序を持って攻めるのが大事。
セティエンによると、サッカーとチェスには類似点がある。たとえば、選手(駒)はうまく連係させながら動かさねばならないことや、1人(1駒)だけ離れたところにぽつんと置いておくわけにはいかないこと。
「攻撃的にいく場合でも駒を連動させ、キングを守ることを忘れてはいけない。サッカーでも11人の意思疎通が万全で、組織的に動くチームの方が強いだろ? 監督としてもチェスの対局でも、守備をコントロールしながら秩序をもって攻めるのがわたしのコンセプトだ」
戦術的には、どちらもピッチ(盤)の中央を支配することが重要になる。
「サッカーでもチェスでも、そこをコントロールすることができればより巧く攻められる。すなわち勝利の可能性がぐっと高くなる」
またチェスのおかげでサッカーをより深く理解し、分析できるようになったとも彼は考えている。
「盤上のいまの状態だけでなく、次はどんな状況になるのかを読もうとするところなどにおおいに助けられている。チェスのおかげでよりよい判断が下せるようになったし、対戦相手のことをいろいろな角度から見るようにもなった」
先日のマドリー戦前も、敵地へ向かう電車の中でセティエンはGKコーチのパスクアと一戦交えていた。あれが良いウォーミングアップになったのだろうか。ベルナベウでのセティエンの策は冴えていた。