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新星アセンシオのレアル入団秘話。
スカウト役は、あのナダルだった!?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2017/09/02 08:00
リーガ第2節バレンシア戦でも2得点。アセンシオは看板の「BBCトリオ」に割って入る存在に飛躍した。
バレンシア、アトレティコが興味を示すも……。
とにもかくにも、ジルベルトは肩を落とした。
「楽しみにしていたのに残念だった。でもそれがアスレティックだ。風変わりな入団条件を守っている」
一方で、少年のすでに芽を出している才能と秘めたるポテンシャルに強い関心を示すクラブも幾つかあった。
その中で最初に動いたバレンシアは、保有権の50%の買い取りをRCDマジョルカに提示した。が、拒否された。
続いて手を出そうとしたのはアトレティコ・マドリーだが、解約金の支払いを役員が拒んだため、正式なオファーを出すには至らなかった。
バルサは“ほぼ移籍決定”まで行きながら……。
3番目はバルサだ。国内外に張り巡らしたスカウト網に少年は早くから引っ掛かっており、クラブに送られたレポートには「目立とうとしない。インテリジェンスがある。穴がほとんどない。余計なことはせず、状況に合った正しい判断を下すため、たいていの場合チームが必要としていることをする。セットプレイのキックも素晴らしい」といった調子で、賛辞ばかりが並んでいたらしい。
2014年8月、バルサはまず少年の代理人と連絡をとり、移籍への承諾を取り付けた。次にRCDマジョルカと交渉し、解約金450万ユーロ(約5億9000万円)のうち250万ユーロ(約3億3000万円)を一括払い、残りはトップチームへの登録時に支払うということで一旦合意に達した。
ところが2日後、マジョルカ側が考えを改め、全額一括払いを要求する。バルサは追加の200万ユーロに難色を示し、交渉を中断して、その旨を代理人に伝えた。ちなみに同月バルサは550万ユーロを払ってブラジル出身のSBドウグラスを獲得しているが、今年に至るまで彼は一度たりとも戦力になっていない。
“ほぼ移籍決定”から一転、宙ぶらりんの状態に置かれた少年は、仕方なくRCDマジョルカでの日々に集中した。
そこに現れたのがマドリーだった。