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2年連続昇格でまさかのセリエA!
“魔女の街”ベネベントの大冒険。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2017/08/26 08:00
初のセリエA開幕をアウエーで迎えたベネベントは昨季10位サンプドリアを相手に先制するも、前半38分、後半9分に失点して、逆転負けを喫した。
開幕戦ではサンプドリアをあと一歩まで追い詰めた。
躓く1歩1歩がセリエAレベルの成長につながる。ベネベントは現実に目が覚めた。
20日、ベネベントはサンプドリアとの歴史的一戦に挑んだ。
彼らは敵地での初陣に萎縮するどころか果敢に攻めこみ、MFチチレッティが15分に先制弾を叩き込むなど躍動した。
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サンプから2点を返され逆転負けを喫したものの、ベネベントはロスタイムまでしっかりと眼前の相手に立ち向かい、“魔女の男たち”の名に恥じないゲームを見せた。
開幕戦の黒星にも、指揮官バローニは満足気だった。
「カテゴリーが変わっても、“攻める”といううちのサッカー哲学は変わらない。我々はこれからもオープンな打ち合いに挑み続けるよ。このチームはセリエAでもやれる」
惜敗といえる内容に、ベネベントが得た手応えは大きい。彼らにしてみれば、相手がどこであれ勝ち点1で大儲け、仮に白星でも上げれば末代までの語り草だ。
むしろ、実質3部チームと侮った相手に失点した古豪サンプドリアの動揺は大きかった。
王者ユーベやミラノの2強はもちろん、あらゆるチームにとって、ベネベント戦は絶対に勝ち点3を落とせないゲームだ。シーズンが進むにつれ、プレッシャーがかかるのは相手チームの方ではないか。
長いシーズンの間にベネベントは必ずや金星を上げるはずだ。
もしかしたら、セリエAのクラブたちは、すでにベネベントの魔女の呪縛にかかっているのかもしれない。