セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
2年連続昇格でまさかのセリエA!
“魔女の街”ベネベントの大冒険。
posted2017/08/26 08:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
今季、セリエAに“魔女のチーム”が挑む。
箒にまたがる魔女をクラブのシンボルマークに戴くベネベントは、創設89年目にして初めてセリエAの檜舞台に昇格した田舎クラブだ。町には中世から伝わる魔女伝承がある。
昨シーズンのセリエBで5位に入り、ノーシードからプレーオフを勝ち上がった初めてのクラブであるベネベントは、実は2部に参戦するのも昨年が初めてだった。
「2部初昇格の翌年に即1部昇格」という快挙は、イタリアサッカー史上初の椿事だ。
ナポリから車で1時間ちょっと、山間にある人口6万の町のクラブは、本当に魔女の加護があったのでは、と思わせるほどあれよあれよという間にCL準優勝のユベントスや超巨大補強のミランと同じ土俵に立った。
足が地につかなくても仕方ない。初めて尽くしのセリエAに、彼らはどう立ち向かうのか。
ベネベントの優勝予想は“超大穴”の750~2000倍。
1年と少し前まで3部クラブだったベネベントは、今も実質的に当時と同じ予算規模に留まっている。3部レーガ・プロで上位争いするための年間予算としては、500~600万ユーロが相場だ。
一方、国内サッカー界の頂点に君臨する王者ユベントスの年間予算は、3億ユーロ(約385億円)を超える。
つまり、ベネベントは今季、予算にして50倍以上の差がある相手と同じグラウンドで戦わなくてはならない。
大手ブックメーカーが掲げる今季の優勝オッズは、一番人気のユベントスが1.5倍。ベネベントの優勝オッズは750~2000倍だから、スクデット6連覇のユーベと比較するほうが間違っている。
裏を返せば、降格予想での人気は断トツだ。20チーム中最低倍率の1.2~1.3倍が各社の相場で、ベネベントの降格は“鉄板”とされている。