野球善哉BACK NUMBER
優勝校に負け続ける屈辱を経て……。
花咲徳栄、初回の猛攻撃で勝つ!
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/08/19 17:00
2年時から4番として活躍し、甲子園の通算打率では5割を超えるという、プロ注目の花咲徳栄・西川。
「弾が一発も残らないくらい攻めなきゃダメだ」
「1、2回戦は攻めていくというよりもオーソドックスに戦っていたんですけど、今日に限っては相手の力が上だと思っていたので、打つにしても、守るにしても、攻めて、攻めて、攻めまくる試合をしました。
『弾が一発も残らないくらい攻めなきゃダメだ』と言ったこともあってか、ピッチャーもバッターもひたすら攻めてくれたと思います。
試合を大事に勝つことと、攻めて勝つという2つのことができると、チームの成長に繋がってくるのかなと思っています」
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岩井は、対戦相手との力関係と戦術変化のことを言っている。
自チームと同等の実力であれば、細かい戦術を駆使して勝利に近づけていくことができる。それは待球作戦であったり、ピンチでの守り方であったり、ピッチャーの攻め方である。しかし、相手があきらかに格上であった場合……それと同じような戦い方をしていては万にひとつも勝つことができないと踏んでいるのだ。
甲子園に出場して、優勝校に負け続けるチーム。
遊撃手の岩瀬誠良は「今日の試合前は、決勝戦に挑むような雰囲気だった」と話し、こう続けている。
「2年続けて関東の学校に負けていて、そのチームが優勝していることはみんな知っていました。ここを勝たないことには先に進めないと。初回の先制点が大事だということも分かっていたので、千丸が出塁して、西川が先制打を打った時は、本当に盛り上がりました」
甲子園に出場しながらも優勝校に負け続けるチームという“ジンクス”は、とりたてて花咲徳栄だけのものではない。
過去にも、例えば大阪桐蔭も同じような経験を乗り越えてきているのだ。
'05年夏は準決勝で田中将大(現ヤンキース)のいる駒大苫小牧に敗れ、'06年夏は2回戦で斎藤佑樹(現日本ハム)の早実に敗退。'07年春は田中健二朗(現DeNA)の常葉菊川に準々決勝で敗れた。
いずれも大阪桐蔭と対戦した後、その勢いのままに優勝を遂げているのである。