野球善哉BACK NUMBER
優勝校に負け続ける屈辱を経て……。
花咲徳栄、初回の猛攻撃で勝つ!
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/08/19 17:00
2年時から4番として活躍し、甲子園の通算打率では5割を超えるという、プロ注目の花咲徳栄・西川。
1回戦も2回戦も、試合序盤で勝負を決めてきた。
1回に4点を先制した花咲徳栄は、攻撃の手を緩めることはなかった。
4回表には西川のタイムリーで、7回表にも打線がつながってそれぞれ2点を追加。早々に試合の大勢を決め、最終的にはこの屈指の好カードを10-4で圧倒したのである。
花咲徳栄のこれまでの戦いで見逃せないのは、常に序盤で相手を圧倒しているという点だ。
1回戦の開星戦では3回までに4得点。
2回戦の日本航空石川戦では1回に5点を挙げている。
序盤に相手を圧倒してしまうスタイルが今年のチームの特長で、これは昨年の作新学院と一昨年の東海大相模の両校の戦い方とも類似している。
ただ序盤に強い理由は岩井が施しているオーダーに起因する、とも言える。
3番バッターが2人いるような打順で。
チームの中心打者である千丸、西川の2人を2、3番に並べ、超攻撃的オーダーを組んでいるのだ。
岩井は昨夏、1、4番を打っていた2人をこの打順で並べる理由をこう説明する。
「3番バッターが2人いるようなつもりで組んでダブル・タイムリーを打ちにいきたいと考えてのオーダーなんです。2人はバットの芯に当てるのが上手い選手なので、一振りで仕留めることができる。
きょうの初回は千丸から3連打がすべて長打でしたから、いい攻撃ができたと思います。2人の連打がチームに勇気を与えてくれた」
かくして、序盤で相手を圧倒したわけだが、岩井は甲子園で勝っていくためには、「2通りの戦い方が必要なのだ」と力説する。