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西武・山川穂高の打球音は、エグい。
“おかわり2世”の長打力が完全開花。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2017/08/09 08:00
山川穂高はフォルムも、フォームも、あまりにもおかわり君。西武は長距離打者を見抜く目があるのだろうか。
入団当初から「おかわり2世」と呼ばれた長打力。
入団当初から「おかわり2世」と呼ばれ、その長打力には大きな期待を寄せられてきた。しかし、長距離砲の多いライオンズでは、そう簡単には出番は巡ってこなかった。昨年はシーズン半ばになってやっと出場試合が増え、49試合に出場。山川の能力を思えば物足りなさが残るシーズンだった。
それでも、覚醒の片りんは見せていた。49試合で放った本塁打数は14本。およそ3試合に1本のペースである。山川は昨年をこう振り返る。
「昨シーズンはまず、開幕から野球をしていると言えるような仕事ができていなかったことが悔やまれます。シーズンの終盤、チームが4位、5位という位置にいるときに、試合に出していただけるようになった。試合に出られたことは収穫ですけど、上位を争っているときに出場するのとでは当然、プレッシャーが違うと思います。もし、優勝争いのプレッシャーの中で、昨年の本塁打数が記録できたら胸を張れるんですけどね」
ようやく見つけた、精神的に崩れない方法。
今シーズンもスタートは出遅れた。しかし、昨年までの山川とは一味違う。8月5日のソフトバンク戦、延長で敗れはしたものの9回裏、相手の抑えのエース、サファテから同点のタイムリーヒットを記録した。
「すごいボール球。でもなんでも振ってやろうと思った」と語る打球は三遊間をしぶとく抜いて、同点に追いつくタイムリーヒットとなった。
この日、6番に入った山川は1打席目、2打席目、3打席目と先発の千賀滉大に連続三振に抑えられていた。直後、修正点を見つけるためにベンチ裏で自分の打席の動画を見直した。
「千賀投手が本当に素晴らしいボールを放っていた。もうこれは自分の負けだって、すっきりと割り切れました。そのあと投手が代わったこともあって、よし、ここからまた改めてスタートだって気持ちを切り替えて打席に入ることができました。以前までだったら、たぶん、切り替えられていなかったですね」
第4打席目は二塁打で出塁。そして第5打席目、ここ一番での同点タイムリーへとつながった。試合の中で気持ちをリセットし、精神的に崩れない方法を見つけたことが好調の大きな要因となっている。