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松坂大輔との春夏連覇から19年――。
小山、小池、後藤がそれぞれ歩む道。
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/08/11 07:00
横浜高校の校歌を歌う小山らナイン。彼らが3年生の甲子園で残した圧倒的な戦績は、今もなお語り継がれる。
松坂と一緒につかんだ、2009年WBCでの世界一。
そんな小山にプロ野球人生のハイライトを尋ねた。'05年に放った初ヒットかと思いきや、しばらく考えた末にこう言った。
「選手としては全然やり切れていないんですが、2009年のWBCで世界一を経験させてもらったことですかね」
'09年、ブルペン捕手として侍ジャパンに参加した。そこでは年下の投手陣とのコミュニケーションに悩んだ。代表のエースだった松坂に相談すると、選手とスタッフの食事会を開催してくれた。2次会には裏方では小山だけが参加し、彼らと心を通わせた。そして、世界一となったロサンゼルスの夜、投手陣の「ヨシオ・コール」の中、監督や選手に続いて胴上げされた。
「普通、スタッフは選手と食事に行こうなんて思えないんですが、松坂と一緒にいたおかげかもしれないですね」
「松坂のいいところは弱みを見せないところ」
かつて自分があの夏に縛りつけられるような恐怖に苦しんだ。だが、気づけば高校時代と同じノックを打ち、松坂の登板をチェックし、その結果に喜んだり、悲しんだりしている自分がいる。
「やっぱり松坂大輔を気にしてたのかな。そうしないようにしてきたつもりでも、気にしてたのかもしれませんね……」
今、松坂はマウンドに上がるためにもがいている。高校時代、一塁手として常に声を掛け、西武でも同僚だった後藤は2年前、肩の手術直後に会いに行ったという。
「時間があったのでお見舞いに行けたんです。でも彼のいいところは弱みを見せないところ。すごく前向きでいました。だから必ず復活すると思っています」