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ワールドシリーズ制覇か定位置か。
青木宣親、電撃移籍の背景と葛藤。
posted2017/08/02 11:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
このままアストロズでプレーすれば、出場機会は限られるが、間違いなくポストシーズンではプレー出来る。
ワールドシリーズでプレーするのは、青木宣親の切なる願いでもある。ロイヤルズ時代の2014年、優勝まであと一歩と迫った経験があり、もう一度、あの舞台で活躍したいという思いは強い。
しかし、今季のアストロズの外野の層は厚く、なかなか出られないという現実がある。
プロである以上、試合に出たい。プレーしたい。試合に出て結果を残せれば、来季にもつながるから……。
メジャーリーグのトレード・デッドラインである7月31日を前に、青木の関係者に話を聞くと、「青木のジレンマ」が見えてきた。
悪くないのだが、周りのメンバーが図抜けているのだ。
そして最終的に、アストロズは青木をトレードに出して、ブルージェイズから左腕の先発投手、フランシスコ・リリアーノを獲得した。
青木にとってポストシーズン進出は遠のいてしまったが、実力を示す機会を与えられたと言っていい。
アストロズでは圧倒的に出場機会が少なかった。
さあ、ここからが勝負だ。
今季の青木は数字を見る限り、メジャーリーグでの過去5年と同じような成績を残している。ただし、圧倒的に出場機会が少なく、なかなか打席に立つチャンスが巡ってこない。それは、アストロズ外野陣の面々が際立っているからだ。7月30日までのスタッツを見てみよう。
スプリンガー 27歳 打率.310 出塁率.384 長打率.590 OPS.973
ゴンザレス 28歳 打率.314 出塁率.393 長打率.579 OPS.972
フィッシャー 23歳 打率.278 出塁率.366 長打率.500 OPS.866
マリスニック 26歳 打率.247 出塁率.326 長打率.494 OPS.820
レディック 30歳 打率.306 出塁率.348 長打率.494 OPS.842
青木宣親 35歳 打率.272 出塁率.323 長打率.371 OPS.694