プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
飯伏幸太の熱中症トライアングル。
27年目のG1クライマックス開幕!
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/07/18 17:30
苦戦を承知で地獄のG1戦線に戻ってきた飯伏。その目に宿る野望は、未知数の怖さを湛えている。
「自分がやってきたことがゼロとして……」
年間試合数が極端に少ない飯伏は、緊張のためか「試合が近づくと焦ってしまう」という。そんな飯伏にとって、28日間に19試合を戦うことになるG1はどういう意味になるのか――。
約2年分を1カ月で戦ってしまう、というリスクが飯伏を悩ませ続けていた。結局、飯伏は練習の段階で日々オーバーワークを繰り返してしまい、疲労が蓄積されてしまう状態に陥るらしかった。同時に、その脳も様々な思考で「疲れる」のだという。
だが、本人こそ「疲れる」とは公言するものの、飯伏自身がそれを楽しんでいるように見えるから不思議だ。
「ここ1年半とか2年、自分がやってきたことがゼロとして評価されるのは悔しい。何もやってなかったら、いろいろ言われても当然かなと思いますが、自分は自分でいろいろやってきた」
飯伏にしてみれば、とやかく言わずに、試合を見てくれ、ということなのだろう。
内藤vs.飯伏。確かに、見たいカードではあった。
どこまで、やるのか? やれるのか?
飯伏の「脳」が内藤とケニーによって浸食された!?
ここ最近の飯伏の脳は、この内藤とケニー・オメガによって、パンク寸前まで浸食されていた。ふたりのことを考えすぎて、飯伏が戦う前にリタイアしてしまうのではという危惧もあった。
札幌でのこの日、観客を魅了した24分41秒の目まぐるしい攻防の末、結局、飯伏は内藤から3カウントを奪われてしまった。飯伏が匂わせていた「新技」はまだ完成していないのか、見ることはできなかった。
リングから降りる飯伏はフラフラだったが、それでも……その目はしっかりと先を見ているようにギラギラしていた。