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打ちまくる柳田悠岐が掴んだ、
“フライを狙う”打撃スタイル。
posted2017/07/18 12:50
text by
二瓶仁志(Number編集部)Hitoshi Nihei
photograph by
Kyodo News
「トリプルスリーの年と比べて、間違いなくバッティングがよくなっている自信があります」
福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐は、力強くそう語った。前半戦を終えた時点で、打率.327、23本塁打、75打点のパ・リーグ三冠王。出塁率.446と長打率.637も、ダントツの数字だ(7月14日現在)。
2015年は打率.363、34本塁打、32盗塁でトリプルスリーを達成。しかし現在は、驚異的な打率を残した2年前よりも、確かな手応えを感じているという。
「数字は運ですから。あの年はラッキーが多かった。ボテボテのゴロがヒットになったり、ゴロがベースに当たったりしていたんですよ」
今季の好調の要因には、「穏やかな心」を保てていることがあるという。安定した精神状態を、柳田はなぜキープできているのか。
「自分の間合いで、自分のスイングをする、ということだけを思い続けることがうまくいっていますね。ピッチャーという相手に引きずられず、来た球を、自分のスイングで強く叩く。それだけです」
今シーズン序盤の不振には、ある理由があった……。
リーグ最速で20本塁打に到達するなど、チームを牽引する打棒を発揮している柳田だが、3~4月は打率.278とやや苦しんでいた。その間は、自分のスタイルを変えるための、試行錯誤の時期だった。
「フライを狙うようにしたんですよ。最初のころはなかなか難しかった。凡フライが増え、ゴロのヒットが減ったので、打率も上がりませんでした。でも、フライの軌道をイメージしながらスイングをすること。そしてその形の強いスイングを貫くことだけを考えて打席に立っていくことで、結果がついてくるようになった」