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ソフトバンクからまたも育成の星が。
曽根海成、今宮健太を「抜く」宣言。
posted2017/07/19 16:30
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
一体何者か、と選手名鑑のページをめくったファンも多かったのでは?
7月13日に静岡・草薙球場で行われた今年のフレッシュオールスターゲーム。かつてイチローや青木宣親、中田翔がMVPを獲得し将来大成したというエピソードがすっかり定着したことで、毎年「第2の○○」を見つけ出すのがファンにとって楽しみな一戦となっている。
今年、MVPに輝いたのはホークスの曽根海成だった。
53回目の開催にして初のスコアレスドローの投手戦で、両軍で唯一のマルチ安打、しかも二塁打2本を放ったことが評価された。
プロ4年目の22歳内野手、背番号は69。
大抵の選手名鑑はポジション順、次に背番号順で選手が並んでいる。だが、それに倣って探しても、曽根はなかなか見つからなかったはずだ。
名鑑が作成された春季キャンプの頃はまだ、背番号「140」の育成選手だった。'14年育成ドラフト3位で入団。ちなみに育成ドラフト出身選手がフレッシュオールスターでMVPを獲得したのは史上初めての快挙だった。二桁背番号は、今シーズン開幕直前の3月24日に支配下登録されて勝ち取っていた。
おそらく多くのファンは思っただろう。
ホークスからまたしても「育成の新星」が誕生するのか、と。
高校時代は無名、3年夏は急造の捕手で出場。
WBCベストナインの千賀滉大を筆頭に、今年は甲斐拓也と石川柊太も台頭して「育成のホークス」を強烈に印象づけるシーズンとなっている。
この曽根もまたホークス育成出身の御多分に漏れず、高校時代は無名の存在だった。母校は京都国際高校。甲子園の土は遠く、3年夏は府大会1回戦で敗退している。じつはその最終学年は本職の内野手ではなく捕手として出場していた。
「もともとの正捕手が夏前に怪我をしてしまい、僕の肩が強かったという理由でマスクを被ることになったんです」
計ってみると二塁送球1秒7台の強肩、50m6秒を切る俊足。そして急造ポジションもこなせる野球センスの高さ。ホークスのスカウトはこの逸材を見逃さなかった。