猛牛のささやきBACK NUMBER
ダルに「一番だわ」と言わしめた男。
1年目・山岡泰輔が既にエースの気配。
posted2017/07/15 07:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
「オリックスのエースっぽいよな。味方に援護してもらえないあたりが」
7日7日にほっともっとフィールド神戸で行われたオリックス対ロッテ戦から帰る電車の中で、ファンのこんな会話が聞こえてきた。
この日の先発は、ルーキーの山岡泰輔だった。ファンには既に、近い将来のエースと認められているようだ。
山岡は先発ローテーションに入って12試合に登板し、防御率はオリックス先発陣の中でトップの2.54。特に最近の7試合は、5失点した6月23日のロッテ戦をのぞけば、すべて1失点以内に抑えている(うち1試合は2回降雨ノーゲーム)。
ところが勝敗は……3勝6敗。山岡が先発した試合のチームの平均得点は1.75点と、とことん援護に恵まれない。きっちり試合を作っているのに白星がつかず、プロ初勝利は7試合目の5月28日まで待たなければならなかった。
ホームランを打たれた直後に、マウンドで素振り?
7月7日の試合も8回1失点、11三振を奪う好投だったが、援護はわずかに1点。同点の9回表にマウンドに上がった平野佳寿が2点を奪われ、敗れた。ファンが同情するのも無理はない。
前半戦を総括する記者会見で福良淳一監督も、「山岡はよく頑張っている。(勝敗の)数字が逆になってもいい」とねぎらった。
ただ、負けが先行しようとも、山岡に悲壮感はない。いつもあっけらかんと前を向いている。
山岡の武器は切り替えの速さである。
7月7日の試合ではこんな場面があった。7回表、先頭のジミー・パラデスに本塁打を打たれた山岡は、「しまった」という表情を浮かべた後、マウンドで素振りをするそぶりをみせた。パラデスのスイングを再現したのだ。
「『あそこに投げたら、そりゃこう持ってかれるよな』って」